イニシアル(読み)いにしある(その他表記)initial

翻訳|initial

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イニシアル」の意味・わかりやすい解説

イニシアル
いにしある
initial

頭(かしら)文字。ラテン語のinitialis(始まり、最初)などを語源とすることばで、略式の署名signとして用いられたり、各種名称の略称として用いられる。たとえば、George Bernard ShawのイニシアルはG.B.S.であり、また、姓surname, family nameに付けてG.B.Shawなどと書く。企業名でも日本航空Japan Air LinesはJAL、日本放送協会はNHKなどとよび、地名ではニューヨーク市をN.Y.C.などとする。

 イニシアルを用いる歴史は古くローマ時代にさかのぼり、ローマ人は略字や略称をたいへん好んだ。本や文書の文の最初の文字は、本文と異なって大文字や装飾性に富む文字で書かれる。中世写本では、動植物の模様などのとくに手のこんだデザインや鮮やかな色彩(とくに赤色を用いる例が多い)を用い、文字本来の役割を超えて芸術性の高い文字が多くみられる。イニシアルを俗に花文字というのは、こうしたことが原因となっている。この伝統は印刷術の発明以後にも受け継がれ、イニシアルだけは手書きによって制作された例も多い。現代印刷物でも、イニシアルには装飾的な文字を用いることがあり、文字は簡素なスタイルであっても、しばしば赤色で印刷される。

[斎藤公一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

2022年度から実施されている高校の現行学習指導要領で必修となった科目。実社会や実生活で必要となる国語力の育成を狙いとし、「話す・聞く」「書く」「読む」の3領域で思考力や表現力を育てる。教科書作りの...

現代の国語の用語解説を読む