イラン核合意

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

イラン核合意

イランで2002年にウラン濃縮施設が見つかったことをきっかけに、イランが核兵器を持たないよう、15年7月に米英仏独中ロ、欧州連合(EU)とイランが「包括的共同行動計画」で合意。イランは、核兵器に転用できる高濃縮ウランや兵器級プルトニウムを15年間は生産せず、10トンあった貯蔵濃縮ウランを300キロに削減。1万9千基あった遠心分離機を10年間は6104基に限定する。 仮にイランが核開発を再開しても、核爆弾1発分の原料の生産に最低1年はかかるレベルに能力を制限する。見返りに米欧などは金融制裁やイラン産原油の取引制限などを解除する。 軍事的手段ではなく、外交で核不拡散体制(NPT)を維持した成功例として評価される一方、イランが制限付きながら核開発を続けられるため、敵対するイスラエルなどが反対姿勢を示してきた。

(2017-10-14 朝日新聞 朝刊 1外報)

イラン核合意

2015年に米英仏独ロ中の6カ国とイランが結んだ合意。イランが核開発を大幅に制限する見返りに米欧が経済制裁を緩和する内容になっている。イランと敵対するイスラエルは合意に反発し、オバマ前政権との関係悪化の一因となった。トランプ大統領は「致命的な欠陥がある」とし、大統領選中から離脱を公約にした。トランプ氏は合意維持の条件として、(1)イランの弾道ミサイル開発規制の追加(2)核開発制限の期限の撤廃――などの「修正」を挙げている。欧州は合意維持を求め、追加規制の可能性を米側と協議してきた。トランプ氏は修正の期限を今月12日までとしてきた。

(2018-05-09 朝日新聞 朝刊 1外報)

イラン核合意

2002年にイランでウラン濃縮施設が見つかったことを契機に、イランが核兵器を持たないよう15年7月、米英仏独中ロの6カ国、欧州連合(EU)とイランが「包括的共同行動計画(JCPOA)」に合意した。イランは、核兵器に転用できる高濃縮ウランや兵器級プルトニウムを15年間は生産せず、10トンあった貯蔵濃縮ウランを300キロに削減。1万9千基あった遠心分離機を10年間は6104基に限定する。合意の履行が確認されれば、EUは核関連の制裁を解除し、米国は制裁を一部解除。核問題に関する国連安保理決議も解除する、という内容。

(2018-05-10 朝日新聞 朝刊 3総合)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

知恵蔵の解説

イラン核合意

イランの核兵器開発を大幅に制限する合意。イランと6カ国(米・英・仏・独・ロ・中)が2015年7月に結び、国連の安全保障理事会でも決議された。正式名称は「包括的共同行動計画(JCPOA)」。合意内容は、イランが濃縮ウランや遠心分離機を大幅に削減し、これを国際原子力機関(IAEA)が確認した後、見返りとしてイランへの経済制裁を段階的に解除するというもの。その後、IAEAの定期的な査察によって、イランが合意事項を順守していることが確認された。しかし、18年5月に米トランプ大統領が核合意からの離脱を発表したことで、状況は一変。トランプ政権は、核合意に弾道ミサイルの開発規制が盛り込まれていないこと、核開発制限に期限が設定されていることなどを離脱の理由に挙げている。他の当事国は合意継続を表明しているが、米国抜きでの実効性をどう確保していくかが今後の課題になっている(18年6月末時点)。
15年の「イラン核合意」までには、紆余曲折があった。イランは核兵器の製造・保有を禁じる核拡散防止条約(NPT)に1970年の発効時から加盟している。しかし、79年のイラン革命でイスラム共和制に移行して以来、欧米諸国とは距離を置き、独自の外交・安全保障政策を進めてきた。2002年に国内で核兵器への転用が疑われるウラン濃縮施設が確認され、欧米や周辺アラブ諸国から非難されたことで、イランは翌03年に濃縮活動の停止を発表。しかし、05年に保守強硬派のアフマディネジャドが大統領に就任すると、再びウラン濃縮を稼働させた。その後もアフマディネジャド政権は国連や欧米諸国による数度の制裁措置にも強硬姿勢を崩さなかったが、13年に穏健派のロウハニが大統領に就任すると一転。長期の経済制裁で国民生活が困窮するなか、ロウハニ政権は国際協調路線に舵(かじ)を切った。オバマ政権下の米国とも関係改善を図り、原油輸出や金融取引を対象にした制裁措置の解除を優先して、15年の「イラン核合意」へと至った。

(大迫秀樹 フリー編集者/2018年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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