化学辞典 第2版 「インドールアルカロイド」の解説
インドールアルカロイド
インドールアルカロイド
indole alkaloid
インドール誘導体とみなされる一群のアルカロイドの総称.キョウチクトウ科Apocynaceae,アカネ科Rubiaceae,フジウツギ科Loganiaceae,ミカン科Rutaceae,マメ科Leguminosae,ロウバイ科Calycanthaceaeなどの植物中に見いだされる.生合成的にインドール部は,トリブタミンに由来すると考えられている.その数は非常に多く,ハルミン,フィソスチグミン,ホリカンチン,エルゴタミンなどの簡単なものよりも,むしろ,トリブタミン部とモノテルペンが結合した形のものが多く,その結合の仕方に応じて数多くの骨格型が生じる.ヨヒンビン,コリナンテイン,アジュマリン,サルパギン,アスピドスペルミン,イボガイン,ストリキニーネ,エボジアミン,エキタミン,ボバシン,エブルナミンなどがそれぞれ代表的なものである.キナアルカロイドもこのタイプに属すると考えられ,生体内でインドール部が開裂し,キノリン環を形成したものとみなされる.これらが別々に2分子結合したビスインドールアルカロイドや,インドール環が酸化された構造のオキシインドールアルカロイドなども知られている.アルカロイド化学中,もっとも複雑な一群を形成しており,重要な薬理作用をもつものが多い.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報