翻訳|yohimbine
西アフリカの熱帯地方に産するヨヒンベCorynathe yohimbeの樹皮に含まれるアルカロイドの一種で、インドール誘導体。α(アルファ)‐アドレナリン遮断作用を有し、血管拡張作用がある。また、抗利尿作用もあるが、中枢神経系に対する作用は弱い。一般には催淫(さいいん)剤(強精剤)として知られるが、薬理学的にはそのような事実は証明されていない。原住民がヨヒンベ皮を催淫剤として用いたことから、かつては陰萎(いんい)(インポテンス)の治療に用いられたことがあったが、持続が短く陰茎の勃起(ぼっき)をおこすのみで、現在は臨床的にほとんど用いられていない。
[幸保文治]
(16α,17α)-17-hydroxyyohimban-16-carboxylic acid methyl ester.C21H26N2O3(354.45).アカネ科Corynanthe yohimbeやキョウチクトウ科Rauwolfia serpentinaの樹皮に含まれるインドールアルカロイドの一種.無色の針状晶.融点234 ℃.+106°(ピリジン).エタノール,クロロホルム,熱ベンゼンに可溶,エーテル,水に難溶.催淫(いん)作用があるので有名.適量で性器を充血させ,腰髄のぼっ起中枢に作用して,その機能を亢進させるが,多量ではめまい,けいれんを起こす.アドレナリン遮断剤で,塩酸塩として用いられる.[CAS 146-48-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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…性交不能症には種々の形が含まれるが,陰茎の勃起不能または不完全を改善する目的の薬物を最も直接的に強精剤とよぶ。生薬成分由来のヨヒンビンとストリキニーネがまずあげられるが,ストリキニーネは一般的な興奮が強すぎる点,強力な毒物である点から使用はきわめて危険である。ヨヒンビンはヨヒンベ皮中に含まれるアルカロイドであるが,生殖器末梢の血管を拡張させることと,腰髄の勃起中枢へ作用することによって陰茎の勃起を促す。…
… 催淫薬は,大別して直接陰茎の勃起を起こす薬物と,中枢の精神的抑制を解除して間接的に勃起を促す薬物とに分けられる。直接的な薬物としては,まず生薬由来のストリキニーネとヨヒンビンがあげられる。しかしストリキニーネは一般的な興奮が強すぎること,また強力な痙攣(けいれん)毒であることから,その使用はきわめて危険である。…
…(1)α遮断薬 α受容体を選択的に遮断する薬物。ヨヒンビン,ジヒドロエルゴタミン,フェノキシベンザミン,トラゾリン,フェントールアミン,プラゾシンなどがある。高血圧症や末梢血管痙攣(けいれん)の治療に使われる。…
※「ヨヒンビン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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