日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨヒンビン」の意味・わかりやすい解説
ヨヒンビン
よひんびん
yohimbine
西アフリカの熱帯地方に産するヨヒンベCorynathe yohimbeの樹皮に含まれるアルカロイドの一種で、インドール誘導体。α(アルファ)‐アドレナリン遮断作用を有し、血管拡張作用がある。また、抗利尿作用もあるが、中枢神経系に対する作用は弱い。一般には催淫(さいいん)剤(強精剤)として知られるが、薬理学的にはそのような事実は証明されていない。原住民がヨヒンベ皮を催淫剤として用いたことから、かつては陰萎(いんい)(インポテンス)の治療に用いられたことがあったが、持続が短く陰茎の勃起(ぼっき)をおこすのみで、現在は臨床的にほとんど用いられていない。
[幸保文治]