改訂新版 世界大百科事典 「ウィスキー一揆」の意味・わかりやすい解説
ウィスキー一揆 (ウィスキーいっき)
Whiskey Rebellion
1794年アメリカのペンシルベニア西部の農民が連邦政府の新税法に反対して起こした一揆。ウィスキー反乱ともいう。1791年A.ハミルトン財務長官の提案にもとづき制定された内国消費税法は,巨額の公債利子支払いの財源捻出のため国産ウィスキーに対する課税などを決定した。ところが,民主的伝統ならびに反政府的気運の強いペンシルベニア西部では,農民が唯一の換金商品としてウィスキーを醸造していたので,この新税法は彼らに不当な財政負担をおわすものであるとしてこれに強く反対した。反対運動はしだいに高揚し,1794年にはついに武力闘争にまで発展して一時は約5000人の農民軍が結集して気勢をあげた。この事態を重視した連邦政府は急きょ調停交渉を進め,事態は平穏に向かい始めた。しかし,ハミルトンはただちに大軍を出動させて農民軍を鎮圧し,力による〈法と秩序〉維持の態勢示威にこの機を利用した。
執筆者:田島 恵児
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報