日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ウッド(Grant Wood)
うっど
Grant Wood
(1892―1942)
アメリカの画家。1930年代のリージョナリズム(地方主義)を代表する一人。アイオワ州アナモサに生まれ、ミネアポリスの工芸学校やパリのアカデミー・ジュリアンで学ぶ。初期のウッドは印象派風の平凡な作風であったが、28年ミュンヘンでメムリンクなど北欧ルネサンス絵画の影響を受けて以来、精緻(せいち)な写実様式に転向し、厳粛なポーズ、鋭く見据えるまなざしなどの人物画や、高い所から見下ろした農村風景を手がけた。近代の造形意識に支えられた明快な形象に特徴があり、風刺と郷愁を同時にはらむ主題の扱い方にも独特なものがある。『アメリカン・ゴシック』(1930)、『革命の娘たち』(1932)が代表作。
[桑原住雄]
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