改訂新版 世界大百科事典 「ウレイド」の意味・わかりやすい解説
ウレイド
(1)尿素(H2N)2COの水素1原子を除いて得られる1価の基H2NCONH-のこと。英語ではureido。カルバミドcarbamideともいう。
(2)尿素(H2N)2COの水素原子をアシル基RCO-で置換した化合物の総称。英語ではureide。別名アシル尿素acylurea。モノアシル尿素RCONHCONH2とジアシル尿素(RCONH)2COが知られている。環状ウレイドの中には生理作用にかかわる重要な化合物が多く,アロキサン,ウラシル,尿酸,また代表的な催眠剤バルビタール(ジエチルバルビツール酸)などがその例である。
一般に白色の固体で,加熱すると溶解せずに分解する。塩基性はほとんどなく,酸とは塩をつくらない。環状ウレイドではエノール型の互変異性体になりやすく,弱い酸性を示す。アルカリの作用で成分の酸と尿素に分解する。モノアシル尿素は尿素と酸塩化物あるいは酸無水物との反応で,ジアシル尿素は酸アミドとホスゲンとの反応で合成される。
環状ウレイドは,たとえばジカルボン酸と尿素を脱水縮合して合成できる。
執筆者:岡崎 廉治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報