エウフォリオン(読み)えうふぉりおん(英語表記)Euphoriōn

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エウフォリオン」の意味・わかりやすい解説

エウフォリオン
えうふぉりおん
Euphoriōn

生没年不詳。古代ギリシア詩人。エウボイアの出身。生年は紀元前275年ごろとされるが、疑問が多い。シリアアンティオコス3世からアンティオキア図書館長に招かれた。多作であったが、わずかな断片しか現存しない。いわゆるエピュリオン小叙事詩)がほとんどで、トロヤ伝説や地方の歴史と伝承をテーマにし、意表をつく技巧衒学(げんがく)的なことばが目だつ。影響はローマの古典期に及び、キケロをして「エウフォリオンの徒」と慨嘆させたほど多くの私淑者を生んだ。

[伊藤照夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エウフォリオン」の意味・わかりやすい解説

エウフォリオン
Euphoriōn

[生]前275
[没]前200頃
ギリシアの詩人。そのエピュリオン (小叙事詩) はのちローマの詩人ガルスによってラテン語に訳され,カツルス,ウェルギリウスらに多大の影響を与えたといわれる。現存するのは断片のみ。

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百科事典マイペディア 「エウフォリオン」の意味・わかりやすい解説

エウフォリオン

エウボイア(エビア)島出身のギリシアの詩人,文法家。神話に取材した詩を多く書いたらしい。難解な詩句を用いたのでも有名。

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世界大百科事典(旧版)内のエウフォリオンの言及

【アイスキュロス】より

…ギリシアの三大悲劇詩人の一人。アテナイの貴族の家柄のエウフォリオンEuphoriōnの子としてエレウシスで生まれる。僭主ヒッピアスの追放(前510),クレイステネスの民主的改革(前508か507)の時代に成人し,ペルシア戦争ではマラトン,サラミスなどの戦場に出征,その経験が作品に反映されている。…

※「エウフォリオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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