日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
エンジェル(Ralph Norman Angell Lane)
えんじぇる
Ralph Norman Angell Lane
(1872―1967)
イギリスの著述家、平和運動家。リンカーンシャーのホルビーチに生まれる。フランスのサントメール・リセ、スイスのジュネーブ大学で学ぶ。ついでアメリカに渡り、さまざまな職を経たのちにジャーナリストとなる。1898年イギリスに戻ったが、またパリへ行き、英字新聞の記者となった。1903年、アメリカ・スペイン戦争、ドレフュス事件、ブーア戦争に触発されて、最初の著書『三つの旗の下の愛国主義――政治での理性主義の嘆願』Patriotism under Three Flags: A Plea for Rationalism in Politicsを出した。1905年には『デーリー・メール』紙パリ版の総支配人となる。1910年『大いなる幻想』The Great Illusionを出版、彼は本のなかで、戦争による勝利は利益をもたらさないことを指摘し、戦争否定論を展開した。この本は25か国語に翻訳され、200万部以上を売り上げる大ベストセラーとなった。また国際連盟設立について熱心な支持を表明した。1929年、労働党から国会議員になり、1931年まで務めた。1933年、著述活動を通して、世界平和に力を尽した功績により、ノーベル平和賞を受賞した。その後も、著作活動を続け、40冊以上の書物を残した。なお、1931年にナイトの位を与えられている。
[編集部]