エンスタタイト(その他表記)enstatite

改訂新版 世界大百科事典 「エンスタタイト」の意味・わかりやすい解説

エンスタタイト
enstatite

鉱物の一種。頑火輝石(がんかきせき)ともいう。斜方輝石(Mg,Fe)SiO3はMgSiO3(エンスタタイト,En)成分とFeSiO3(フェロシライトferrosilite,別名鉄ケイ石,Fs)成分を端成分とする固溶体であるが,エンスタタイトとはこのうちEn成分が100~90%,Fs成分が0~10%のもの,あるいはMgに富み光学性が正の二軸性のもの(Fsが0~12%)をいう。一般に少量のCa(Ca/(Ca+Mg+Fe)が0.05以下)やAlを含んでいる。無色~灰・緑・褐色の短柱状,ふつうは不規則粒状の結晶。モース硬度5~6,比重3.2~3.3。へき開が発達し,へき開面はガラス状光沢を示す。エンスタタイトは超マフィック岩中やアルカリ玄武岩中やキンバーライト中の捕獲岩の中に産する。単斜エンスタタイトパプア・ニューギニア小笠原諸島の火山岩の斑晶として産する。また,隕石中に広く産する。エンスタタイトには結晶構造の異なる斜方エンスタタイトプロトエンスタタイトおよび単斜エンスタタイトの3種が存在する。前2者は斜方晶系,後者は単斜晶系に属する。プロトエンスタタイトは斜方エンスタタイトより高温で安定とされており,MgSiO3では両者転移温度は約1000℃である。単斜エンスタタイトはプロトエンスタタイトが比較的急冷した場合に生じる準安定相と考えられている。岩石中には斜方エンスタタイトがもっともふつうに存在し,エンスタタイトといえば一般には斜方エンスタタイトのことをさす。名称は,反射能が高いことからギリシア語の〈敵〉を意味するenstatēsに由来する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エンスタタイト」の意味・わかりやすい解説

エンスタタイト

頑火輝石」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のエンスタタイトの言及

【コンドライト】より

…そのために,Eコンドライト中のおもなケイ酸塩鉱物として産する輝石のFeO/(MgO+FeO)モル比は常に0.1以下である。このような輝石をエンスタタイトenstatiteといい,Eコンドライトと呼ばれるゆえんである。Cコンドライトでは金属鉄は一般に少なく,酸化鉄が多い。…

【輝石】より

…輝石には斜方晶系に属する斜方輝石と単斜晶系に属する単斜輝石とがある。
[斜方輝石]
 MgSiO3(エンスタタイト)成分とFeSiO3(フェロシライトferrosilite。鉄ケイ石ともいう)成分とを端成分とする固溶体で,その化学組成は(Mg,Fe)SiO3で表される。…

【コンドライト】より

…そのために,Eコンドライト中のおもなケイ酸塩鉱物として産する輝石のFeO/(MgO+FeO)モル比は常に0.1以下である。このような輝石をエンスタタイトenstatiteといい,Eコンドライトと呼ばれるゆえんである。Cコンドライトでは金属鉄は一般に少なく,酸化鉄が多い。…

※「エンスタタイト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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