エンポリオン(英語表記)Emporion

改訂新版 世界大百科事典 「エンポリオン」の意味・わかりやすい解説

エンポリオン
Emporion

スペイン北東部,フランスとの国境に近いロサス湾の沿岸部にギリシア人が前6世紀前半に建てた町。〈交易場〉を意味するその名のとおり,ギリシア人とイベリア半島住民との交易の中心地として大いに発展し,フェニキア人が半島南部に築いたガデス(現,カディス)と覇を競った。

 第2次ポエニ戦争(前218-前201)が勃発すると,ローマに迫るカルタゴ軍の補給線を断つべくイベリア半島に出動したローマ軍がこのエンポリオンを上陸基地にしたことは有名。その後ローマ期を通して繁栄は続き,西ゴート期になってからも司教座が置かれるほどの規模を維持した。しかし,8世紀初頭のイスラム教徒の征服後は見捨てられ,今日ではアンプーリアスという寒村があるだけである。すでに発掘はほぼ完了し,墓地神殿,住宅,初期キリスト教会等の遺構と,多くの優れた彫刻作品,陶器,モザイク等が発見されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エンポリオン」の意味・わかりやすい解説

エンポリオン
Emporion

マッシリアの古代植民市。スペインの地中海沿岸,バルセロナの北東にあった。現アンプリアス。3世紀にローマがスペイン経略の足掛りとし,以後ローマの支配下にあった。住民は先住民,ギリシア人,ローマ人の3者。

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