オクサス遺宝(読み)オクサスいほう(その他表記)Oxus treasure

改訂新版 世界大百科事典 「オクサス遺宝」の意味・わかりやすい解説

オクサス遺宝 (オクサスいほう)
Oxus treasure

1877年に中央アジアのオクサス川(アム・ダリヤ)をはさんだコバーディアーンKobadiānとフルムKhulmとの間で出土したと伝える遺物大英博物館が97年にフランクスA.W.Franksの遺贈によって一括収蔵したもの,のちあらたに加えられたもの,さらにビクトリア・アンド・アルバート美術館にある1点を加えた,総計216点の金銀銅製品と約1500点の貨幣を指す。正確な出土地は不明。多くの古物商,英領インド官僚の手を経てイギリスに渡ったため,中間で当初出土した遺物以外の遺物が多く混入した。したがって金銀製品は前6世紀からポスト・ササン時代まで,貨幣も前5世紀~前2世紀にわたっている。戦車を馭す武人像,容器装身具,飾り板,武具などの金銀製品は,近年西アジア・中央アジア各地で出土するものと比較しうる遺宝目録の第2版(1926)を著したドルトンO.M.Daltonは,この金銀製品を分類して,当時暗かったアケメネス朝美術解明に貢献した。
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百科事典マイペディア 「オクサス遺宝」の意味・わかりやすい解説

オクサス遺宝【オクサスいほう】

1877年トルキスタンのオクサス(Oxusはアム・ダリヤ川の古名)で発見された金銀製の遺物。ペルシアアケメネス朝のものと思われる指輪人物像,容器,飾金具などのほか,前5世紀―前2世紀の貨幣1500枚を含む。ペルシア文化の東方波及を示す遺品で,現在その多くは大英博物館所蔵

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