オテル(その他表記)hôtel

改訂新版 世界大百科事典 「オテル」の意味・わかりやすい解説

オテル
hôtel

フランスの都市型の大型住居。15世紀以降,特に17~18世紀に貴族の邸宅としてパリに多くつくられた。セルリオフォンテンブローに建てたフェラーラ枢機卿のための館(1546)がその原型となった。オテルの基本型はコの字形平面で,中庭をもつ母屋(コール・ド・ロジcorps-de-logis)を建て,街路に面して門を開き,中庭の左右を翼廊もしくは塀で囲う。翼廊には,厨房と馬屋が設けられることが多かった。母屋背後には,造園され,彫刻などで装飾された庭園がつく。現存する最古の例は,P.レスコー設計のオテル・カルナバーレ(パリ,1544)である。パリ以外では,エクサン・プロバンスボルドーモンペリエなどに建てられた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のオテルの言及

【住居】より

…ヨーロッパ都市の構成とそのなかに建つ住居の形式は,中世末期に確立されて以後,本質的には19世紀に産業革命が都市化の波を引き起こすまで,変化することなく持続する。
[ルネサンスから近世――オテル,アパルトマンとテラス・ハウス]
 ルネサンス住宅建築の課題は,中世以来の左右非対称の平面構成を古典主義的な左右対称の壁面構成と両立させることであった。アルベルティはフィレンツェに建つパラッツォ・ルチェライPalazzo Rucellai(1446‐51)の正面壁面にローマのコロセウムに由来するオーダーとアーチの組合せのデザインを応用し,ルネサンス的な意匠をもつ都市邸宅の端緒を開いた。…

※「オテル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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