日本大百科全書(ニッポニカ) 「セルリオ」の意味・わかりやすい解説
セルリオ
せるりお
Sebastiano Serlio
(1475―1554ころ)
イタリアの建築家、理論家。ボローニャに生まれる。初め画家として出発するが、1515年ローマに移りペルッツィに建築を学ぶ。1527年神聖ローマ皇帝による教皇領への侵攻であるローマ略奪Sacco di Roma(ローマ劫掠(ごうりゃく)ともいう)により、師とともにベネチアに赴く。その主著『建築論』は7書からなり、各書の出版は1537年の第4書に始まり、1541年フランソア1世(在位1515~1547)の招きでフランスに赴いたのちも継続され、フォンテンブローで彼が没したのち、1575年に公刊された第7書に至るまで長期にわたった。この書が版を重ねて各国語に訳出され、ヨーロッパ各地に普及したのは、図版中心のきわめて実用的な手引書であったことによる。現存する数少ない建築作品の一つとしてブルゴーニュのアンシー・ル・フランの居館があげられる。
[三好 徹]