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オリーブの木

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

オリーブの木

イタリアで政界再編が進んだ95年、右派連合ベルルスコーニ政権に対抗するため12の中道、左派政党が経済学者プロディ氏のもとに結集。幅広い政党による緩やかな連合体「オリーブの木」として翌年の総選挙で勝利した。01年にベルルスコーニ氏の中道右派が政権奪回。05年に中道左派9党が「ユニオン」の名で再びプロディ氏を首相候補に迎え、06年の総選挙で勝った。

(2007-10-28 朝日新聞 朝刊 1外報)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

オリーブの木
おりーぶのき

1996年にイタリア政界で生まれた「中道左派連合」の呼称。直接のきっかけは、1994年3月、政・官・財、総ぐるみの政治汚職の一掃と「出直し」の合い言葉で導入された小選挙区制による総選挙が、だれも予想しなかったような劇的な結果をもたらしたことだった。戦後イタリア政治を支配してきたキリスト教民主党および、それと連合してきた社会党社会民主党自由党共和党がともに空中分解しただけではない。新しく生まれた「フォルツァ・イタリア」とネオ・ファシスト党の流れを汲(く)む国民同盟および分離主義を主張する北部同盟による右翼連合(42.9%)の前に、旧共産党系の左翼民主党と共産党再建派、それに緑の党など左翼の「進歩派」連合(34.4%)が大敗した。その結果、マスメディアに支えられ、またポピュリズム―大政翼賛主義による新右翼政権の出現となり、内外に大きな衝撃を与えた。
 こうした状況打開のために、具体的かつ積極的に動いたのが、左翼民主党の新書記長ダレーマである。彼はそれまでの左翼連合方式の反省にたって、連携の枠を中道寄りに広げるべく働きかけたのが、人民党の党首プロディであった。プロディはカトリック界や旧キリスト教民主党の諸勢力とパイプをもつだけでなく、産業相としてまた二度にわたる産業復興公社(IRI)総裁として財政改革に取り組んだ実務経験の持ち主であった。彼は、中道左派グループの代表になるようくどかれ、初めはのり気でなかった。だがそれを承認するや、右、左の不毛な激突回避のために提案したのが、未来に向けての統一を目ざした「オリーブの木」であった。彼はいう。「平和と労働の充実を象徴するオリーブの木は、イタリア全土でみられ、どこにでも深く根を下ろし、厳しい風雪にも耐え、そして実がなる」。彼が目ざしたのは、穏健的な新しさであり、断絶や革命的装いをもたない民主主義的な政権交替であった。そのためにも、政治汚職と小選挙区制による二極化の圧力のもと、四分五裂の状態にある中道勢力、つまりカトリック勢力、社会党、共和党など、そして新しく形成されてきた市民派勢力を結びつけることが必要であった。こうした「オリーブの木」というプロディ提案は、中道・左派諸勢力を結集するダイナミックな運動体の呼称とされ、それによって、1996年4月の総選挙に勝利し、政権を取ってからは、「オリーブの木」政権として諸連立のシンボルとされていった。したがってそれは、院内の統一会派でも旧来型の政党でもなく、各自が主体性をもちながら、緩やかな連携を取り合ってゆくという政治的実験として模索された。こうした「オリーブの木」を中心的に支えていたのは左翼民主党であり、そこにみられるのは、イタリア共産党以来の民主主義を基本理念とした実践的模索のなかで培われてきた政治的知性と、政治行動におけるプラグマティズムと、統治責任の自覚である。[片桐 薫]
 1996年4月「オリーブの木」はプロディ政権を発足させたが、1998年に共産党再建派が閣外協力をとりやめたため、プロディは辞職した。その後は左翼民主党のダレーマが首相に就いた。2001年の総選挙では中道右派連合に敗れ、「オリーブの木」は政権の座から降りることになった。そして2006年の総選挙において、「オリーブの木」を中心とした中道左派連合が勝利を獲得、プロディ政権が発足した。しかし、2008年1月にプロディ内閣は上院で不信任となり議会は解散、4月に行われた総選挙で中道右派連合に敗れた。[編集部]
『後房雄著『「オリーブの木」政権戦略――イタリア中道左派連合から日本政治へのメッセージ』(1998・大村書店)』

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