カシノシマメイガ(読み)かしのしまめいが

改訂新版 世界大百科事典 「カシノシマメイガ」の意味・わかりやすい解説

カシノシマメイガ (菓子縞螟蛾)
Pyralis farinalis

鱗翅目メイガ科に属する昆虫で,幼虫家屋内で貯蔵穀,ビスケットのような菓子類,デンプン,干果など乾燥食品を食害する。幼虫は食餌や自分の糞をつづって巣をつくり,その中にすんで食害するが,老熟すると室内の隙間などで繭をつくり,その中で蛹化(ようか)する。年に2回くらい発生し,老熟幼虫で越冬する。成虫の発生は一定していないが,初夏から秋にかけて出現し,昼間は壁面などに翅を開いて静止し,その際,腹部背面に曲げて,きわめて特異な姿勢をしている。開張2~2.5cm。ほとんど全世界に分布する屋内害虫で,野外ではほとんど見られない。洋上灯台船などで採集されることがあるので,成虫はかなり長距離を移動する力があるのかもしれないが,食品の移動に伴って,人為的に運ばれるため,広分布種になったもの。屋内暖房が普及すると,本来なら生息できないような寒地でも,世代を重ね繁殖できるようになり,ますます産地は拡大されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カシノシマメイガ」の意味・わかりやすい解説

カシノシマメイガ
かしのしまめいが / 菓子縞螟蛾
[学] Pyralis farinalis

昆虫綱鱗翅(りんし)目メイガ科に属するガ。はねの開張15~30ミリメートル。前ばねの基部と外縁部は赤紫色で、白線で縁どられ、中央部は明るい黄褐色。主として家屋や倉庫内にすみ、壁面などに静止するときは腹部を強く上方に曲げ、特異な姿勢をする。ほとんど全世界に分布し、幼虫は干果、乾燥した動物の糞(ふん)、穀粒、菓子など乾燥食品をおもに食べる。年1、2回発生し、幼虫で越冬する。

[井上 寛]

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