カストロ(Guillén de Castro)(読み)かすとろ(英語表記)Guillén de Castro

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

カストロ(Guillén de Castro)
かすとろ
Guillén de Castro
(1569―1631)

スペイン劇作家。バレンシア出身の軍人で地元の文学活動に加わり、のちにマドリードに出て貴族に仕えながら戯曲を書く。ロペ・デ・ベガとは作品を贈り合うほどの親交があった。代表作は国民的英雄ロマンセ(史詩)を劇化した二部作で、『若き日のシッド』(1618)および『シッドの武勲』(1625)からなる。この作品に想を得て、フランス人好みに仕立てたコルネイユの『ル・シッド』(1636)はフランス古典劇の出発点と目される。ほかに史劇もあり、『ドン・キホーテ』の一部など、セルバンテスの小説を脚色した最初の作家でもある。マドリードで没。

[菅 愛子

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