カーベリ川(読み)かーべりがわ(その他表記)Kaveri

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーベリ川」の意味・わかりやすい解説

カーベリ川
かーべりがわ
Kaveri

インド南部の川。コーベリ川ともいう。西ガーツ山脈のブラーマギリ山(1335メートル)に発し、カルナータカ州南部とタミル・ナド州を流れ、ベンガル湾に注ぐ。全長760キロメートル。東ガーツ山脈を横切る中流部には比高98メートルに及ぶカーベリ滝があり、水力発電に利用されている。川はティルチラーパリより下流でいくつにも分岐し、面積約1万平方キロメートルにも及ぶ巨大なデルタを形成する。ここには紀元2世紀につくられたグランド・アニカット水路をはじめとして灌漑(かんがい)水路網が張り巡らされ、きわめて豊かな米作地域となっている。タンジャブールをはじめ歴史的にも重要な都市が多く、「南インドの庭」または「南のガンジス」とよばれている。上流部マイソール付近のクリシュナラジャサガラ・ダムや、中流部サレムの北のメツール・ダムなどによって流域の灌漑、電化も進み、南インド経済を支える重要な川となっている。

[貞方 昇]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カーベリ川」の意味・わかりやすい解説

カーベリ川
カーベリがわ
Kāverī

別綴 Cauvery。インド南部の川。ウェスタンガーツ山脈に源を発し,カルナータカ州の高原を南東に流れ,タミルナードゥ州の平野を東へ流れて,下流部で広大な三角州を形成し,ベンガル湾に注ぐ。全長 765km。上流から中流部には滝が多く,シバサムドゥラム滝 (落差 97m) やホゲナガル滝が特に規模が大きい。途中にクリシュナラージャ湖,スタンリー湖など大きなダムがある。下流のティルチラーパリ以東では,多くの流路に分れて三角州内を流れる。下流部の灌漑用水路網は2世紀から大規模につくられたが,1934年には 12万 haの新灌漑地と,40万 haの既灌漑地の改良および発電のための水利計画が実施された。上流部のスリランガパトナム,シバスムドゥラム,下流部のティルチラーパリ,スリランガムなど,多くのヒンドゥー教聖地を流れるため,ダクシニガンガ (南のガンジス川) とも呼ばれる。

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