キクラデス文明(読み)キクラデスぶんめい(その他表記)Cycladic civilization

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キクラデス文明」の意味・わかりやすい解説

キクラデス文明
キクラデスぶんめい
Cycladic civilization

前 2500~1600年頃エーゲ海のキクラデス諸島に栄えた文明。特に大理石を素材とした小偶像は有名で,扁平であるが幾何学的に単純化された形態の女性を表わす像が多い。これらの出土品はエーゲ海域全体に広く及んでおり,キクラデス諸島がこの時期にギリシア本土とアナトリアを結ぶ交易上重要な役割を果したことを示している。前 2000年以降,エーゲ海域でクレタ文明が優勢となるにつれ,キクラデス文明の独自性はそのなかに包み込まれていく。遺跡はミロス島フュラコペの数層の住居跡およびシロス,パロスの墓域など。

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世界大百科事典(旧版)内のキクラデス文明の言及

【キクラデス[諸島]】より


[歴史]
 ギリシア,小アジア,クレタをつなぐ海のかけ橋として,航海上の要地を占め,新石器時代からすでに小アジア系の人々が住み着いた。彼らは前3000‐前2000年の初期青銅器時代に,独特の文化,いわゆる〈キクラデス文明〉を発展させたが,前12世紀ころからギリシア人の侵入と移住が始まり,諸島の大部分はイオニア人,南部のミロス,ティラなどはドリス人の島となる。アルカイク時代にはナクソスが最も有力なポリスであった。…

※「キクラデス文明」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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