地方税の一つとして課せられていた税。1988年(昭和63)に廃止された。本税は大正年間に地方税として花代等に課税されたことに始まる。一時国税とされたこともあったが、1947年(昭和22)に遊興税の名称でふたたび地方税に還元され、48年に遊興飲食税と改称された。50年の地方税制の改正時に遊興飲食税は道府県税となり、61年の地方税制の改正によって、本税の性格をより的確に表現させるという趣旨から、その名称は料理飲食等消費税(略称、料飲税)に改められた。
料飲税は、料理店、貸席、カフェー、バー、飲食店、喫茶店、旅館その他これらに類する場所における遊興、飲食および宿泊、その他の利用行為に対して課税する税であった。この税は、その税源が都市的形態をなす地域に集中するきらいがあるとされながら、一方地方税に要求される応益性の利点を備えているとして発展してきた。
料飲税は1988年(昭和63)の消費税の導入を中心とする抜本的税制改革に伴い、税率を引き下げ、免税点の大幅な引き上げや簡素化を図ったうえで、特別地方消費税の名称で存続することになった。さらに97年(平成9)に、国税の消費税が4%に引き上げられたのに伴い、都道府県税として地方消費税が創設され、料飲税の流れをくむ特別地方消費税は廃止された(実施は2000年4月)。
地方消費税の税率は国税消費税額の25%とされ、これによって消費税(地方消費税を含めて)の税率は合計で5%となった。地方消費税の課税は当分の間、国が行うものとされ、国に納付された地方消費税の清算は、「各都道府県ごとの消費に相当する額」に応じて配分されることになった。
[中野博明]
『自治省税務局編『地方税の現状とその運営の実態』(1997・地方財務協会)』▽『橋本徹編著『21世紀を支える税制の論理7 地方税の理論と課題』(2001・税務経理協会)』
地方税の一つ。料理店,貸席,バー,飲食店,喫茶店,旅館その他これらに類する場所における遊興,飲食,宿泊等の利用行為に対して地方税法にもとづき課税される消費税。料飲税と略称。古くから地方税として存続してきたが,道府県税として課される現行の形になったのは1950年である。納税義務者はこれらの利用行為を行った者であり,飲食店等の経営者が特別徴収を行う。課税標準は,遊興,飲食,宿泊等の利用行為の料金である。ただし,旅館の宿泊料については,1人1泊につき2500円を差し引いたものが課税標準となる。免税点は,(1)飲食店,喫茶店等においては1人1回の利用料金が2500円,(2)チケット制の食堂等においては1品の価格が1000円,(3)旅館においては1人1泊の料金(2500円を控除する前の料金)が5000円,とされていた(1984年現在)が,消費税の創設に伴い,特別地方消費税と改められた。
執筆者:藤原 啓司
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…1988年,料理飲食等消費税を改めて設けられた地方消費税。料理店,貸席,カフェー,バー,飲食店,喫茶店,旅館その他これらに類する場所における遊興,飲食および宿泊ならびにこれらの場所における休憩等の利用行為に対して,その行為者にその行為地所在の道府県が課する税である(地方税法113条)。…
※「料理飲食等消費税」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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