キリシタン書(読み)キリシタンしょ

改訂新版 世界大百科事典 「キリシタン書」の意味・わかりやすい解説

キリシタン書 (キリシタンしょ)

日本イエズス会が1591-1614年(天正19-慶長19)に印刷したキリシタン版のうち,典礼書,教理書,修養書などがいわゆるキリシタン書である。91年の最初の印刷《どちりいなきりしたん》(《どちりな・きりしたん》)はキリスト教教義のカテキズモであり,《サカラメンタ提要》は教会用の典礼書である。修道者用には《心霊修行》《金言集》などがある。信仰・修養書に《ヒイデスの導師》《サントスの御作業のうち抜書》《ぎや・ど・ぺかどる》《スピリツアル修行》《コンテンツス・ムンヂ》があり,内容は聖書と聖伝の引用,ヨーロッパの信心書などの抄訳である。ほかに不干斎ハビアンによる《妙貞問答》がある。数種の信仰書の写本は明治期まで潜伏キリシタンの間に流布した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

グレーゾーン解消制度

個々の企業が新事業を始める場合に、なんらかの規制に該当するかどうかを事前に確認できる制度。2014年(平成26)施行の産業競争力強化法に基づき導入された。企業ごとに事業所管省庁へ申請し、関係省庁と調整...

グレーゾーン解消制度の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android