キンウワバ

改訂新版 世界大百科事典 「キンウワバ」の意味・わかりやすい解説

キンウワバ

鱗翅目ヤガ科キンウワバ亜科Plusinaeに属する昆虫総称。開張3cm内外の中型のガで,前翅,すなわち上翅に金色または銀色の金属様の光沢をもつ斑紋があるためにこの名がある。世界におよそ250種が分布し,日本では53種が発見されている。北極圏から熱帯地方まで,あらゆる環境に応じて固有の種を産する。一般に夜行性であるが,夕刻ごろ吸みつのために花に飛来することも多い。温帯には種数も多く,一部の種には移動性があり,秋に向かって繁殖を続けながら本土を北上する。都市部でもよく見られ,前翅表面が金色に輝くキクキンウワバTrichoplusia intermixtaヘチマカボチャなどウリ類につくウリキンウワバAnadevidia peponisなどがよく知られている。多くの種では特定の寄主植物をもたず,圃場(ほじよう)のニンジンゴボウなどにつく例も多いが,害虫として注目されることは少ない。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キンウワバ」の意味・わかりやすい解説

キンウワバ
きんうわば / 金上翅

昆虫綱鱗翅(りんし)目ヤガ科のキンウワバ亜科の昆虫の総称。はねの開張30~40ミリメートル程度の中形のガ類で、前翅の表面には金属光沢のある金色の地に、銅色または銀色の斑紋(はんもん)があるのでこの名がある。前翅の面積のなかば以上が一面金色に輝くキクキンウワバや、ヒサゴキンウワバがもっとも顕著である。幼虫は草本につき、しばしば畑のゴボウやニンジンなどに発生する種もあり、ウリキンウワバはヒョウタン、ヘチマ、カボチャなどウリ科の害虫として著明である。一部の種には移動性があり、定着地から逐次北上して晩夏から秋にかけて多発し、特定の休眠期をもたない。日本には約50種を産する。

[杉 繁郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android