ギンズバーグ(Allen Ginsberg)(読み)ぎんずばーぐ(英語表記)Allen Ginsberg

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ギンズバーグ(Allen Ginsberg)
ぎんずばーぐ
Allen Ginsberg
(1926―1997)

アメリカの詩人。ロシア系移民の子としてニュー・ジャージー州に生まれる。コロンビア大学在学中に、母親ナオミの知的障害のため一時精神の不安にみまわれる。1948年夏、ニューヨークのアパートでブレイクの詩を読んで以来、幻想的な傾向が強い詩作にふけった。郷里パターソンの先輩詩人W・C・ウィリアムズの忠告をいれて、もっと現実に根ざした詩を志向し、1955年にサンフランシスコに赴き、アメリカ社会の悲惨とビジョンとの葛藤(かっとう)を歌い上げた長詩『吠(ほ)える』(1956)を書いて、ビート世代の指導者的存在となった。以来、ベトナム反戦の運動に携わるなど、絶えず社会の関心の的となる行動をした。詩集『アメリカの没落』(1972)にその政治的側面がよくみられる。しかし本質的には、母親の死を悼んだ『カディッシ』(1961)にうかがえるように、宗教的な予言者詩人で、ホイットマンに似た相貌(そうぼう)を呈している。1988年に来日し、講演と朗読を行った。

[新倉俊一]

『諏訪優著『ビート・ジェネレーション』(紀伊國屋新書)』『諏訪優訳編『ギンズバーグ詩集』増補改訂版(1991・思潮社)』

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