クレディフォンシエ(英語表記)Crédit Foncier de France

改訂新版 世界大百科事典 「クレディフォンシエ」の意味・わかりやすい解説

クレディ・フォンシエ
Crédit Foncier de France

1852年に創設されたフランスの不動産信用銀行。債券発行によって調達した資金を長期の不動産抵当貸付に運用することを基本業務としている。同行民間の株式銀行として出発したが,54年以降は,中央銀行であるフランス銀行と同じく,政府の任命になる総裁・副総裁制を採り入れ,半官半民の性格を濃厚に帯びるにいたった。また,その成長の過程で,60年にはアルジェリア,1909年にはチュニジア,20年にはモロッコと,子会社を通じて活動の場をフランス国内から植民地地域へと拡大した。19世紀末~20世紀初頭における資本金は1億7000万フランで,当時のフランスで最大の企業であった。クレディ・フォンシエに当初期待されていたのは農業に対する信用供与であったが,同行は今日にいたるまで,農業金融機関としての機能はほとんど果たさなかった。同行による融資の主要部分は,諸都市,なかでもパリ市における住宅建設,地方自治体による道路・学校建設などの公共事業,海運・水運業に向けられていた。クレディ・フォンシエの成功に刺激を受けた各国は,同行をモデルに同種の金融機関を創設した。日本勧業銀行もその一つである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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