グラウ(Jacinto Grau)(読み)ぐらう(英語表記)Jacinto Grau

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

グラウ(Jacinto Grau)
ぐらう
Jacinto Grau
(1877―1958)

スペインの劇作家。バルセロナ出身。商業化した演劇の芸術的品位回復を理念に、伝統的主題と近代的主題の合体を試みたが、非日常的用語と技巧にすぎる古風な対話のせいもあって、当時のスペイン演劇界や一般観客には理解されなかった。主要作品は、主題を史詩(ロマンセ)から得た『アラルコス伯爵』(1907)、聖書に求めた『放蕩(ほうとう)息子』(1918)、セルバンテスの古さとピランデッロの新しさを結合させた『ピグマリオン親方』(1921)。ほかにドン・ファン伝説を土台にした『真面目(まじめ)な色事師』(1930)など。ブエノス・アイレスで没。

[菅 愛子

『笠井鎭夫訳『ピグマリオンの親方』(弘文堂・世界文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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