ピグマリオン(読み)ぴぐまりおん(その他表記)Pygmalion

翻訳|Pygmalion

デジタル大辞泉 「ピグマリオン」の意味・読み・例文・類語

ピグマリオン(Pygmaliōn)

ギリシャ神話で、キプロスの王。象牙ぞうげで作った女の像に恋し、アフロディテが像に生命を与え、結婚させた。
Pygmalionショー戯曲。5幕の喜劇。1912年の作品で、1913年、ウィーンのホフブルグ劇場で初演。花売り娘が音声学者により淑女に育て上げられていくという筋書きで、ミュージカルマイフェアレディー」の原作

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精選版 日本国語大辞典 「ピグマリオン」の意味・読み・例文・類語

ピグマリオン

  1. ( Pygmaliōn ) ギリシア神話で、キプロスの王。象牙(ぞうげ)で作った女の像に恋し、アフロディテが像に生命を与え、結婚させた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピグマリオン」の意味・わかりやすい解説

ピグマリオン(バーナード・ショーの喜劇)
ぴぐまりおん
Pygmalion

イギリスの劇作家バーナード・ショーの五幕喜劇。1912年作。音声学者ヒギンズは、ロンドンの貧しい花売娘エライザの、ひどいことばを矯正して、貴婦人として社交界に売り出す。題名は、古代ギリシア伝説の、自分のつくった像にほれ込むキプロスの王様の名前だが、この劇では恋愛とならぬのがショーらしいところで、そのため長い「あとがき」がつけてある。この喜劇は、1938年にゲイブリエル・パスカルのプロデュースによって映画になり、1956年にはアメリカでミュージカル『マイ・フェア・レディ』となって長期興行記録をつくり、以来、各国で上演された。ただし、ミュージカルでは、結末がロマンチックなハッピー・エンディングになっている。

[菅 泰男]

『倉橋健訳『ピグマリオン』(『ショウ名作集』所収・1966・白水社)』


ピグマリオン(ギリシア神話)
ぴぐまりおん
Pygmalion

ギリシア神話のキプロスの王。象牙(ぞうげ)でつくった女の像に恋をしてしまったピグマリオンは、アフロディテに祈ってその像に生命を与えてもらう。そして生きた人間の女となったその彫像との間に娘パフォスをもうけた。パフォスは、アフロディテ信仰で有名なキプロスの都市パフォスの創建に関連する人物であり、キプロスのあらゆる文化の移入者・創始者であるキニラスの母とする説もある。またアポロドロスによれば、ピグマリオンの娘メタルメの婿がキニラスであるという。ピグマリオンと彫像の女の話は、とくにオウィディウスの『転身譜』で広く知られた。なお、同名異人にシリアのティロス王ピグマリオンがおり、彼は妹ディドの夫を殺して財産を奪ったという。これはウェルギリウスの『アエネイス』で扱われている伝説である。

[伊藤照夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピグマリオン」の意味・わかりやすい解説

ピグマリオン
Pygmalion

イギリスの戯曲。喜劇。5幕。 G.B.ショー作。 1912~13年執筆。 13年 10月ウィーンで初演。音声学者のヒギンズ教授が花売娘イライザを教育して貴婦人に仕立てる話で,上流社会に対する風刺がみられる。 14年4月のロンドン初演では,P.キャンベル夫人と H.トリーがイライザとヒギンズを演じた。 38年に映画化され,また 56年 A.J.ラーナーの作詞,台本,F.ローの作曲で『マイ・フェア・レディ』の題でミュージカル化された。

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デジタル大辞泉プラス 「ピグマリオン」の解説

ピグマリオン

1938年製作のイギリス映画。原題《Pygmalion》。ジョージ・バーナード・ショウの同名戯曲の映画化。ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の原形。劇場未公開。監督:アンソニー・アスキス、レスリー・ハワード、出演:レスリー・ハワード、ウェンディ・ヒラーほか。第11回米国アカデミー賞作品賞ノミネート。同脚色賞受賞。

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世界大百科事典(旧版)内のピグマリオンの言及

【ショー】より

…それ以後,ヒロイズムを風刺した《悪魔の弟子》(1897),売春問題を扱った《ウォレン夫人の職業》(1902),生命力の哲学を具体化させた《人と超人》(1905),英雄を茶化した《シーザーとクレオパトラ》(1906),ジャンヌ・ダルクを主人公にした《聖ジョーン》(1923)のほか,おびただしい数の戯曲を発表した。音声学者が花売り娘に上流階級の言葉づかい,礼儀作法を教えこんでレディに仕立てる《ピグマリオン》(1913)は,のちにアメリカで,ブロードウェーでのミュージカル・ドラマ化を経て,《マイ・フェア・レディ》(1964,G.キューカー監督,アカデミー作品賞ほかを受賞)として映画化された。ロマンス性も強いが,イギリスの階級制度を風刺している。…

※「ピグマリオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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