コロサイ書(読み)コロサイしょ

精選版 日本国語大辞典 「コロサイ書」の意味・読み・例文・類語

コロサイしょ【コロサイ書】

新約聖書中の一書。六〇年頃、パウロ獄中からコロサイへ送ったとされる書簡。コロサイの異端者を排撃するためのもので、キリストの絶対性、信者同士の愛の交歓を説く。コロサイびとへの手紙

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コロサイ書」の意味・わかりやすい解説

コロサイ書
ころさいしょ

『新約聖書』のなかの手紙の一つで、パウロがコロサイの教会あてに書いたとされるもの。「コロサイ人(びと)への手紙」ともいう。コロサイKolossaiは小アジア西部の小さい町で、この地の教会はエパフラスによって建てられたと伝えられる。この手紙は、コロサイの信徒たちの間にみられるユダヤ的グノーシス主義という異端的傾向を論駁(ろんばく)しており、内容的に「エペソ書」と密接な関係にある。また、手紙を取り巻く状況は、「ピレモン書」の背景とつながっている。このような複雑な性格のゆえに、これをパウロの真正な手紙とすべきかどうかについて議論が絶えない。成立の時期と場所もはっきりしないが、真正性を仮定すれば、60年前後にエペソ(エフェソス)かローマで執筆されたことになる。

土屋 博]

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