エフェソス(読み)えふぇそす(英語表記)Ephesos

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エフェソス」の意味・わかりやすい解説

エフェソス
Ephesos; Ephesus

トルコ西部,セルチュク近郊にある古代都市遺跡イズミルの南約 70kmに位置する。エフェス Efesともいう。前2000年頃から人が住んでいたとみられるが,前11世紀末頃にイオニア人によって都市建設が始まり,ほかのイオニア諸都市とともに小アジア内陸との貿易により港湾都市として栄えた。遺跡はコレッソス山を背にし,ピオン丘を中心に東西 1.5km,南北 1.2kmの規模をもち,西端に船着場の施設が残る。またエフェソスの北東 2kmには七不思議の一つとギリシア人が伝えるアルテミスの大神殿跡がある。2015年世界遺産の文化遺産に登録。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エフェソス」の意味・わかりやすい解説

エフェソス
えふぇそす
Ephesos

トルコ、小アジアの西海岸に栄えた古代都市。『新約聖書』ではエペソと書かれる。紀元前11世紀末ごろに建設され、イオニア12都市の一つとして、前6世紀ごろから植民と貿易により発展した。万物流転を説く哲人ヘラクレイトス、詩人カリノスもここから出た。この地に建立されたアルテミス神殿は、古代七不思議の一つに数えられる壮麗な建物であった。ローマ支配下にもアジア州の州都として栄え、紀元後53年から約2年間、使徒パウロがここに滞在して伝道し、教会を建て、『新約聖書』の「コリント書」「ガラテヤ書」を書いた。使徒ヨハネも聖母マリアを伴い、晩年ここに住んだと伝えられている。262年、ゴート人が侵入して市街と神殿を破壊、その後復興したが、昔日の繁栄は回復しなかった。431年エフェソス公会議が開かれ、15世紀後半には一寒村と化し、19世紀後半からオーストリア考古学協会の発掘によって古代の栄えが世に示された。

秀村欣二

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