ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コーエン兄弟」の意味・わかりやすい解説
コーエン兄弟
コーエンきょうだい
Coen brothers
(弟) イーサン Ethan 1958.9.21. ミネソタ，セントルイスパーク～
アメリカ合衆国の映画監督。コメディとドラマ性を合体させ，奇人変人が多数登場する複雑怪奇な筋書きによる独特の作風で知られる。2人とも制作過程のすべてに関与しているが，作品クレジット上の監督は兄ジョエルで，弟イーサンはプロデューサー，脚本は共同，編集にはロデリック・ジェインズ Roderick Jaynesというペンネームを使用することが多い。ジョエルはニューヨーク大学で映画制作を専攻し，イーサンはプリンストン大学で哲学を学んだ。1984年，スリラー映画『ブラッド・シンプル』Blood Simpleの脚本を共同執筆して注目される。『赤ちゃん泥棒』Raising Arizona（1987），『ミラーズ・クロッシング』Miller's Crossing（1990）ののち，神経質で情緒不安定な脚本家の男を描いた『バートン・フィンク』Barton Fink（1991）がカンヌ国際映画祭のパルムドール，監督賞，男優賞を獲得した。失敗した誘拐事件をめぐるダークコメディ『ファーゴ』Fargo（1996）でアカデミー賞脚本賞と主演女優賞を獲得。ホメロス作『オデュッセイア』の舞台を大恐慌時代（→大不況）のアメリカ南部に置き換えた『オー・ブラザー！』O Brother, Where Art Thou?（2000）でアカデミー賞脚色賞候補になった。ほかに『ビッグ・リボウスキ』The Big Lebowski（1998），『バーバー』The Man Who Wasn't There（2001）など。善悪の問題を考察する大作『ノーカントリー』No Country for Old Men（2007）はアカデミー賞 4部門で受賞し，兄弟には作品賞，監督賞，脚色賞が贈られた。
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