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オデュッセイア オデュッセイアOdysseia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

オデュッセイア
Odysseia

ギリシアのホメロス英雄叙事詩。 24巻。ギリシア軍のトロイ攻略後の帰国物語の一つで,知将オデュッセウスが帰国の途中,海の神のたたりで船を地中海の各地に押し流され,数々の苦難と冒険ののちに,パイアケス人の王アルキノオスの援助で 10年にわたる放浪を終えて 20年ぶりに故郷のイタカに帰り,息子テレマコスに会って留守の間のことを聞き,妻ペネロペイアに求婚する無頼漢どもが自分の財産を食いつぶしているのを知ると,浮浪者に変装して乗込み,求婚者どもを退治して,貞淑な妻に再会する。同じ作者の『イリアス』に比べて,物語の構成は複雑に入組み,変化に富んでいる。

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百科事典マイペディアの解説

オデュッセイア

ホメロス作の長編叙事詩。1万2110行。《イーリアス》より後に作られたものらしい。トロイア戦争から凱旋(がいせん)するオデュッセウスが海上で放浪と冒険を重ねて,苦難をなめつつ故郷イタケー島に待つ妻と再会するという筋立が,《イーリアス》より複雑で,冒険談的要素やお伽噺(おとぎばなし)的要素が多くて親しみやすいため,文学的価値とは別に,昔から《イーリアス》よりよく知られている。
→関連項目英雄叙事詩叙事詩ナウシカアフィルドゥーシー

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世界大百科事典 第2版の解説

オデュッセイア【Odysseia】

古代ギリシアの詩人ホメロスの作として《イーリアス》と並び称せられる大叙事詩。アレクサンドリア時代より24巻本として今日に伝わる。 トロイアを攻略した後,帰路に着いた英雄オデュッセウスがその途次漂浪を重ね,12の冒険と危機を克服して,10年の後ようやく故郷イタケー島に単身たどりつく。留守を守っているのは貞節な妻ペネロペとようやく成人した一子テレマコスであるが,近隣諸地の貴族らはオデュッセウスがすでに亡きものと思い,ペネロペと結婚し家財を乗っとろうと押し掛けて彼女を苦しめる。

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大辞林 第三版の解説

オデュッセイア【Odysseia】

ホメロスの作と伝えられる長編叙事詩。トロイ戦争から凱旋がいせんの帰途難破し、一〇年の漂流生活ののち帰国したオデュッセウスが、留守中妻に言い寄った男たちを皆殺しにする物語。オデッセー。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

オデュッセイア
おでゅっせいあ
Odysseia

『イリアス』とともにホメロスの作とされる古代ギリシアの英雄叙事詩。今日では『イリアス』より約一世代遅れて紀元前8世紀末に制作されたもので、その作者も『イリアス』の作者と同一人ではないと考える学者が多い。『イリアス』より約3000行短く、1万2000行にわずかに足りない。『イリアス』同様24巻に分かれ、ギリシア語アルファベット24字で順序を示す。題名は「オデュッセウスの歌」の意で、トロヤ落城後、さらに10年にわたって各地を放浪した英雄オデュッセウスを主人公とした冒険談である。
 物語は放浪生活も終わりに近く、オデュッセウスはニンフのカリプソに愛され、オギュギエの島に留められてすでに7年になる時点から始まる。一方オデュッセウスの故国イタケでは、彼はすでに死亡したものとして、近隣の貴族の若者たち多数が妃(きさき)ペネロペイアに求婚し、屋敷に居座っては宴遊に明け暮れ、妃とひとり息子のテレマコスを悩ましている。やがてオデュッセウスは故国へ帰り、テレマコスと力をあわせて悪虐な求婚者たちをことごとく討ち果たすまでの、約40日間のできごとが詩の内容である。
 冒頭、神々の会議が開かれ、アテネの発議でオデュッセウスを帰国させることが決定される。巻1~4では、アテネに激励されたテレマコスが、求婚者たちに対抗する決意を固めるとともに、父の消息を求めて、ピロスのネストル、スパルタのメネラオスを訪ねる。巻5から話はオデュッセウスに移り、神ヘルメスがカリプソにゼウスの意を伝え、オデュッセウスは筏(いかだ)に乗って帰国しようとするが、ポセイドンの起こした嵐(あらし)で難破し、からくもスケリエ島に漂着、ここの住民パイエケス人の保護を受ける。巻6~12は、パイエケス人の王アルキノオスの館(やかた)で、オデュッセウスが物語る数々の冒険談がその大部分を占める。
 物語のほとんどすべては、隻眼(せきがん)の巨人キクロペスや歌う魔女セイレンなどの怪異談である。巻13でイタケに帰還したオデュッセウスは、テレマコスと忠義な豚飼いエウマイオスの協力を得て、悪人たちを討ち、妻ペネロペイア、老父ラエルテスと再会、求婚者たちの遺族との対決も、アテネの介入によって回避され、万事めでたく終わる。全編中カリプソの島の美しい自然描写(巻5)、パイエケスの王女ナウシカアのかれんな姿(巻6)、キクロペスの物語(巻9)、乳母(うば)に足を洗わすとき古傷を見られて素姓を悟られる場面(巻19)、かたくなに認知を拒むペネロペイアが、ついにオデュッセウスを夫と認めるくだり(巻23)などは、とくに印象深い名場面である。[松平千秋]
『呉茂一訳『オデュッセイアー』全2冊(岩波文庫) ▽松平千秋訳「オデュッセイア」(『世界文学全集1』所収・1982・講談社)』

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世界大百科事典内のオデュッセイアの言及

【アリストファネス】より

…古代ギリシア,アッティカ古喜劇の三大作家のひとり。そして,このアッティカ古喜劇という世界の文学史のなかできわめて特異な場所を占める文芸分野の完成者であり,またその死の証人でもある。彼の創作した喜劇は,20歳前の作と伝えられる《宴の人々(ダイタレス)》(前427)から,《福の神(プルトス)》(前388)に至るまで44編に及ぶと伝えられているが,そのうちの11編,すなわち《アカルナイの人々》(前425),《騎士》(前424),《》(前423),《蜂》(前422),《平和》(前421),《》(前414),《女の平和》《テスモフォリアを祝う女たち》(ともに前411),《蛙》(前405),《女の議会》(前392),《福の神》はほぼ完全な形で残っており,そのすべては邦訳によっても読むことができる。…

【ギリシア神話】より


【資料】
 宗教的聖典の類を欠く古代ギリシアの神話伝説を伝えているのは,一般には文学とみなされているもので,ほぼ年代順に次のごときものである。ギリシア最古の文献でもあるホメロスの叙事詩《イーリアス》《オデュッセイア》。ついで神々の系譜の総合的整序の企てともいうべきヘシオドスの《神統記》と《農と暦(仕事と日々)》。…

【キルケ】より

…太陽神ヘリオスの娘で,伝説的なアイアイエAiaiēという島に住み,魔法に長じていた。ホメロスの《オデュッセイア》によれば,オデュッセウスとその部下たちがこの島に着き彼女の館を訪れたとき,彼女は部下たちに魔法の酒を飲ませて豚に変えた。しかしオデュッセウスだけは,あらかじめヘルメス神から特別の魔除けの薬草を与えられていたので魔法がきかず,逆に彼に脅迫され,部下たちをもとの姿に戻すことを余儀なくされた。…

【向精神薬】より

…これは抗精神病薬というよりも下剤の一種であり,暗示効果をねらったのであろう。ホメロスの《オデュッセイア》には次のような物語がある。〈オデュッセウスの子テレマコスは,トロイアの攻城と自国の不幸を話したところ,同国人が悲しんで皆泣きだした。…

【詩】より

…いずれにせよ,どちらの場合も,まず叙事詩,ついで抒情詩,劇詩が盛んになっている。 古代ギリシアはまず,ホメロスという伝説的な詩人の作と伝えられる二大叙事詩《イーリアス》と《オデュッセイア》を持つ。これはトロイア戦争を題材とする膨大な叙事詩群の一部をなすもので,紀元前8世紀ごろ成立したとされるが,実際にはそれ以前から長期にわたって吟遊詩人によって語り伝えられていたものらしい。…

【叙事詩】より

…すなわち,はじめはエポスepos(言葉で表されたもの)とポイエインpoiein(作る,製作する)とを合成して作られ,それは韻文で話を語ることを指していた。 近代ヨーロッパにおいて,叙事詩という語が一般に用いられるようになったとき,人々はホメロスの《イーリアス》《オデュッセイア》を最高の模範とみなしながら,ある特定の文学ジャンルを明確に指す用語として使用したのである。それによれば,叙事詩とは,ある歴史的な事件,あるいは民族全体にかかわる伝説上の事件において,華々しい英雄的な功業を遂げた人物の行動を,韻文形式で語る文学作品を意味した。…

【バトラー】より

…絵画,音楽にも造詣が深く,オラトリオを作曲したこともある。またホメロス作として現在知られている《オデュッセイア》の作者は女性であったという説を発表(1897)して,世間を驚かせた。しかし,彼の本領は文学,とくに小説の創作であって,72年に《エレホンErewhon》を発表した。…

【ホメロス】より

…古代ギリシア文学史の劈頭を飾る二大英雄叙事詩《イーリアス》ならびに《オデュッセイア》の作者と伝えられる詩人。生没年不詳。…

【本】より

…《イーリアス》が24巻に分けられたのは,すでにパピルス巻物がギリシアにおいても用いられるようになってから後のことである。《オデュッセイア》は《イーリアス》より少ない巻数におさめられるにもかかわらず,やはり24巻に分けられたのは,《イーリアス》と釣り合うためであろう。そういう場合には,大きな文字で書かれるのがつねであった。…

※「オデュッセイア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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