フィンク(英語表記)Mike Fink

改訂新版 世界大百科事典 「フィンク」の意味・わかりやすい解説

フィンク
Mike Fink
生没年:1770ころ-1822ころ

アメリカの辺境開拓者。若いころはインディアン討伐者やスカウト(斥候)をしていたが,やがてオハイオ川ミシシッピ川で竜骨船keelboatの船頭として活躍。蒸気船出現によって職を失うと,アシュリー狩猟隊のミズーリ川上流遠征に参加し,仲間とのけんかで死んだらしい。しかし実在の人物としてよりも,ポール・バニヤン同様,トール・テール(ほら話)的伝説のヒーローとして知られる。とくに未開の西部の大河で超人的な力を発揮した点が,人気を集めたといえよう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィンク」の意味・わかりやすい解説

フィンク
ふぃんく
Eugen Fink
(1905―1975)

ドイツ哲学者。フライブルク大学教授。フッサールの最晩年の助手を務めてその現象学を受け継ぎ、創造的な解釈を通して新たな可能性を切り開くとともに、ハイデッガーニーチェ、初期ギリシア哲学者の影響のもとでその現象学に批判を加え、独自の現象学的存在論を唱えた。彼は、世界ないし宇宙に開かれた人間の存在のもつ意味を、自己の実存の内的証言から問い求めていった。そして人間存在の意味を、具体的な人間学的根本現象とされる労働支配闘争、愛、遊び、死の交錯緊張のなかで、世界と世界内部的なものとの「宇宙・人間学的差異」に注目しつつ分析した。

[千田義光 2015年3月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フィンク」の意味・わかりやすい解説

フィンク
Fink, Eugen

[生]1905.11.12. コンスタンツ
[没]1975.7.25. フライブルク
ドイツの哲学者。 1948年フライブルク大学教授。 E.フッサールの現象学の影響を受け,現象学的存在論の立場に立った。遊びについての存在論的考察がある。主著『フッサールの現象学の問題』 Das Problem der Phänomenologie E. Husserls (1939) ,『幸福のオアシス』 Oase des Glücks (57) ,『存在-真理-世界』 Sein-Wahrheit-Welt (58) ,『世界象徴としての遊び』 Spiel als Weltsymbol (60) 。

フィンク
Finck, Franz Nikolaus

[生]1867.6.26. クレーフェルト
[没]1910.5.4. ベルリン
ドイツの言語学者。ベルリン大学教授。研究対象はアルメニア語,ジプシー語,バンツー語など広い範囲にわたるが,それら多くの言語を構造によって分類しようとする,いわゆる言語類型学の研究で最も知られている。主著『世界の諸語族』 Die Sprachstämme des Erdkreises (1909) ,『言語構造の主要類型』 Die Haupttypen des Sprachbaus (10) 。

フィンク
Fink, Mike

[生]1770? ペンシルバニア,フォートピット
[没]1823? イエローストーン河畔フォートヘンリー
アメリカの伝説的英雄。キールボートと称する川舟が重要な運輸機関だった頃,ミシシッピ川の「キールボートの王様」と呼ばれた。豪放で腕力が強く射撃の名手として知られ,いわゆる「ほら話」の主人公となり,E.ベネットの『マイク・フィンク』 (1848) や T.B.ソープの作品でも扱われた。

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367日誕生日大事典 「フィンク」の解説

フィンク

生年月日:1867年6月26日
ドイツの言語学者
1910年没

フィンク

生年月日:1905年12月11日
ドイツの哲学者
1975年没

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世界大百科事典(旧版)内のフィンクの言及

【トール・テール】より

…主人公には実在の人物ダニエル・ブーンやデービー・クロケット大佐も登場する。1835年から56年まで発行された《クロケット暦》に刷られたほら話を通して,クロケットのみならずブーンや,〈竜骨船の王者〉というあだ名のフィンクMike Fink(1770?‐1823?)の名が西部一帯に広く知れ渡った。ソープThomas B.Thorpe(1815‐78)による《アーカンソーの大熊》(1841)は古典に入る。…

※「フィンク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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