カンヌ国際映画祭(読み)カンヌこくさいえいがさい(英語表記)Festival international du film de Cannes

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カンヌ国際映画祭
カンヌこくさいえいがさい
Festival international du film de Cannes

毎年5月,南仏のカンヌで開催される世界最大の映画祭。フランス政府の援助の下に,1939年に第1回目を開く予定だったが,戦争で実現せず,スタートしたのは終戦後の 46年から。作品は主として,コンクール形式をとる正式参加作品部門と,賞の対象にならない「批評家週間」,「監督週間」に分かれて上映される。また,追悼特集や特別招待作品の上映,各国の業者が見て歩く,マルシェと呼ばれる見本市も同時に実施。スターも大勢集り,この時期,カンヌの街は最高に活気づく。しかし 68年には,五月革命の影響で中止に追い込まれた。日本映画では『地獄門』 (1953) ,『影武者』 (80) ,『楢山節考』 (83) ,『うなぎ』 (97) がグランプリを受賞,90年には小栗康平の『死の棘』が「大賞-カンヌ 1990」に輝いている。なお 97年には河瀬直美が『萌の朱雀』で新人賞 (カメラ・ドール) を日本人監督として初受賞している。

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知恵蔵の解説

カンヌ国際映画祭

世界3大国際映画祭の1つ。毎年5月に南仏の観光地カンヌで開催。1934〜42年の間ファシズム政権に牛耳られていたイタリアのベネチア国際映画祭に対抗して創設を発案。第1回が開催されたのは46年。パルムドールと呼ばれる最優秀作品賞、第2席のグランプリ(第42回までは最優秀賞だった)ほかを選出する「本選」に加えて、映画ビジネスを目的とした「見本市」も開かれる。

(宮本治雄 映画ライター / 2007年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

カンヌ国際映画祭

国際映画祭の最高峰で、5月に南仏の保養地カンヌ市で開かれる。長編コンペティション部門に出品される約20本の新作の中から最高賞パルムドール(金のシュロ賞)が選ばれる。過去には「第三の男」「甘い生活」「地獄の黙示録」など歴史に残る数々の名作が最高賞を得ている。ベネチアベルリンと合わせて3大国際映画祭と称されるが、近年は第一線の監督の多くがカンヌを目指し、一極集中の傾向が強まっている。

(2018-05-21 朝日新聞 朝刊 1総合)

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デジタル大辞泉の解説

カンヌ‐こくさいえいがさい〔‐コクサイエイグワサイ〕【カンヌ国際映画祭】

フランスの都市カンヌで毎年5月に開かれる国際映画祭。第1回は1946年開催。最高賞パルムドールのほか、監督賞や男優・女優賞、「ある視点」賞などがある。ベネチアベルリンとともに世界三大映画祭とされる。
[補説]カンヌ国際映画祭で最高賞(パルムドール)を受賞した日本映画
受賞年受賞作品監督名
1954年地獄門衣笠貞之助
1980年影武者黒沢明
1983年楢山節考今村昌平
1997年うなぎ今村昌平
2018年「万引き家族」是枝裕和

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百科事典マイペディアの解説

カンヌ国際映画祭【カンヌこくさいえいがさい】

フランスのカンヌで毎年5月に開催される国際映画祭。世界三大映画祭の一つでもある。1946年設立。審査委員長には著名な映画監督や俳優があたり,各国の関係者が集まる。グラン・プリ〈パルム・ドールPalme d'or(金賞)〉をはじめ,監督賞,審査員特別賞などがあり,国際映画祭のなかで最も権威をもつ。日本映画の主な受賞作に衣笠貞之助監督《地獄門》(第7回グランプリ),市川崑監督《鍵》(第13回審査員特別賞),小林正樹監督《切腹》(第16回審査員特別賞),勅使河原宏監督《砂の女》(第17回審査員特別賞),小林正樹監督《怪談》(第17回審査員特別賞),大島渚監督《愛の亡霊》(第31回監督賞),黒澤明監督《影武者》(第33回グランプリ),今村昌平監督《楢山節考》(第36回グランプリ),小栗康平監督《死の棘》(第43回審査員大賞,国際批評家連盟賞),今村昌平監督《うなぎ》(第50回グランプリ),是枝裕和監督《そして父になる》(第66回審査員賞受賞)などがある。
→関連項目アルトマンカンヌギュネイクルーゾクレマンコーエン[兄弟]スコセッシ陳凱歌トリュフォーブニュエルベッケルベネチア国際映画祭ベルリン国際映画祭マルリベットレッドグレーブロージローレン

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カンヌ国際映画祭
かんぬこくさいえいがさい
Festival International du Film de Cannes

ベネチア国際映画祭、ベルリン国際映画祭とともに、国際映画製作者連盟(FIAPF)が公認する世界三大映画祭の一つ。毎年5月にフランスの地中海沿岸のリゾート地、カンヌで開催される。1939年、ファシスト政権による政治色が濃くなっていたベネチア国際映画祭に対抗して創設される予定だったが、戦局のため遅延し、1946年に第1回目が開催された。以後1948年と1950年、および五月革命の最中、フランソワ・トリュフォーやジャン・リュック・ゴダールらシネマテーク擁護委員会のメンバーたちが映画祭を中断に追い込んだ1968年を除き、毎年開催されている。公式部門(オフィシャル・セレクション)には、パルム・ドールを選出する「コンペティション」とオリジナリティのある作品を選出する「ある視点」(1978年創設)を中心に、世界各国の映画学校の学生がつくった短編・中編作品を対象にした「シネフォンダシオン」(1998年創設)、短編映画のコンペティションである「カンヌ短編」(2010年創設)の各部門、「コンペティション外」の作品や「特別招待作品」、過去の名作を復元版やニュープリントで上映する「カンヌ・クラシック」などが含まれる。また、公式部門とは独立したものとして、「国際批評家週間」(1962年創設)と「監督週間」(1969年創設)がある。コンペティションと短編部門の最高賞はパルム・ドール。グランプリとよばれていた時期もあったが、現在は審査員特別賞がグランプリとよばれる。1978年に創設されたカメラ・ドールは、もっとも優秀な処女作品に与えられる新人賞である。日本映画の最高賞受賞作品は、衣笠貞之助(きぬがさていのすけ)監督の『地獄門』(1953、受賞は1954年)、黒澤明(くろさわあきら)監督の『影武者』(1980)、今村昌平(いまむらしょうへい)監督の『楢山節考(ならやまぶしこう)』(1983)および『うなぎ』(1997)。カメラ・ドール受賞作品は河瀬直美(かわせなおみ)(1969― )監督の『萌(もえ)の朱雀(すざく)』(1997)。近年若い才能の発掘とその製作支援に力を入れており、「シネフォンダシオン」や「カンヌ短編」部門の創設はその一環である。2000年には若い監督たちの脚本執筆をサポートする「レジデンス」を開設、2005年からは若手の経済的支援のための「アトリエ」を設けて、各年20名ほどの監督を支援している。映画祭と同時に開催される「マルシェ・デュ・フィルム」は、1959年から始まった世界最大規模の映画の見本市で、国際的な映画ビジネスの場となっている。2000年には各国が映画のプロモーション活動を行う「国際映画村」が開設された。[伊津野知多]

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