改訂新版 世界大百科事典 の解説
コーポレート・アイデンティティ
corporate identity
略称CI。コーポレート・アイデンティティ・システム(略称CIS)ともいう。企業などの団体が,自己の存在意義を明らかにし,社会におけるあり方を計画的に規定し演出していく一連の活動を指す。団体の意義や理念,活動分野や行動規範,外部に見せるイメージの三つの要素に分けて把握される。CIは1930年代に定着した〈企業イメージ〉の考え方を発展させて,50年代にランドPaul Randらが確立し,60年代に普及した。当初はマーク,ロゴタイプ,カラーなどデザインの主要な要素を統一して企業イメージを演出しようとした。現在では,企業理念からデザインまでの総合システムとして考えられている。日本では,1960年代に中井幸一,70年代に中西元男らが紹介し,多くの企業が採用した。しかし明治時代の岩谷商会(岩谷松平)や国柱会の活動には,CIと同じ考え方や方法が,成功裡に採用されている。
→企業
執筆者:星野 匡
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報