1990年に登録されたイタリアの世界遺産(文化遺産)で、フィレンツェの西南、トスカーナ州のシエナ県に位置する。「美しき塔の町」として知られ、町の名前は、398年に亡くなったモデナの司教、聖ジミニャーノからとられた。フランチジェーナ街道とピサーナ街道の合流地点に位置する流通の拠点で、1300年にはダンテ(1265~1321年)がフィレンツェ大使としてここに赴任した。町には以前から防衛のための塔が建設されていたが、13世紀には貴族たちが教皇派と皇帝派に分かれ、競って権力の象徴としての塔を建設した。当時は50mを超えるものを含む72の美しい塔があったが、今はグロッサの塔など、その数14が残るだけである。14世紀半ばにはフランチジェーナ街道が利用できなくなり、町は廃れていった。他の多くの都市では塔は不要なものとして解体されたが、サン・ジミニャーノは戦争などに巻き込まれることがなかったこと、経済的余裕がなかったことで当時の町並みが残され、サンタ・ゴスティーノ教会、サンタ・マリア・アッスンタ参事会聖堂、ポポロ宮などが保存されている。これらが人類の歴史上、重要な時代を例証するものとして、世界遺産に登録された。◇英名はHistoric Centre of San Gimignano