シラス台地
しらすだいち
シラスからなる台地。南九州の鹿児島県を中心に、熊本県南部、宮崎県南部にも分布する。台地面はきわめて平坦(へいたん)で、鹿児島県の十三塚原(じゅうさんつかばる)、春山原(はるやまばる)、須川原(すかわばる)、笠野原(かさのはら)などのように、○○原(ハラ、バル、ハイなど)とよばれる。鹿児島湾内の姶良(あいら)カルデラから2万5000年前に噴出した入戸(いと)火砕流堆積(たいせき)物からなる台地がとくに広く残されており、その台地上には霧島山、桜島などからの火山灰が厚さ数メートル堆積している。樹枝状の開析谷(侵食谷)が発達している台地には地表水流が乏しく、地下水位が低いために、水不足に悩まされてきた。台地崖(だいちがい)は高さ数十メートルから200メートルの急崖になっていて、豪雨時には表流水、地下水による崖(がけ)崩れが多発する。
[池田 宏]
『横山勝三著『シラス学 九州南部の巨大火砕流堆積物』(2003・古今書院)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
世界大百科事典(旧版)内のシラス台地の言及
【鹿児島[県]】より
…第2次大戦後は薩南諸島の大部分が沖縄のアメリカ軍軍政下に置かれたが,1951年返還された。[大隅国][薩摩国]
[シラス台地と亜熱帯の島々]
県本土の形態の特色は[薩摩半島]と[大隅半島]が,中央の[鹿児島(錦江)湾]を両側からかかえるように並んで,南に突出しているという点にある。本土の西方および南方洋上には島嶼(とうしよ)が多く,西方には甑島列島の上甑島,下甑島など,南方には薩南諸島に含まれる[大隅諸島],[吐噶喇(とから)列島],[奄美諸島]などが点在し,亜熱帯的気候(名瀬市での1月平均気温14.2℃,年降水量3051mm)の特色を示している。…
【火砕流】より
…その大部分は大型の火砕流として鹿児島県と宮崎県全域にひろがり,最大厚さ200mの白っぽい色の火山灰質堆積物を生じた。現在その一部がシラス台地として残存している。この噴火の際上空に噴き上げられた細粒の火山灰は1000km以上離れた地域にまで降下した(AT火山灰)。…
【シラス】より
…噴火により,大量の流紋岩質マグマ(SiO2=73~75%,Al2O3=13~15%,Na2O=3.5~3.7%,K2O=2.9~3.0%)が急激に噴出し,軽石や火山灰の流れとなって南九州全域に広がり堆積したものである。厚い堆積物は台地状の地形をつくりシラス台地と呼ばれる(笠野原,春山原など)。シラスのうち一部は溶結しているが,非溶結部もある。…
【台地】より
…鹿児島湾を取り囲む〈原〉(ばい,ばると読む)地名のほとんどは火山灰砂台地の典型である。カルデラ(この場合は鹿児島湾の位置にあたる姶良(あいら),阿多(あた)の2カルデラ)の形成に先立ち,大量に噴出した石英安山岩質の軽石や火山砂などが熱雲となって広がり周辺に堆積して平地をつくり,その後開析をうけてシラス台地となった。中九州にも阿蘇溶岩から成る台地が広域に分布するが,これも阿蘇カルデラに伴う熱雲堆積物である。…
※「シラス台地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」