シロハラセミイルカ(英語表記)Lissodelphis peronii; southern right whale dolphin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シロハラセミイルカ」の意味・わかりやすい解説

シロハラセミイルカ
Lissodelphis peronii; southern right whale dolphin

クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科セミイルカ属。ミナミセミイルカとも呼ばれる。体長約 3m,体重約 116kgに達する。出生体長は推定約 1m。背部は黒色,嘴 (くちばし) ,体側ならびに腹部は白色。口角後方から胸鰭 (むなびれ) つけ根までは背部の黒色部分が体側まで広がる。尾柄部では体側中央を境に上部が黒色,下部が白色を呈する。胸鰭と尾鰭は白色であるが,後縁は黒色で縁どられる。体型は細長く,吻端から背部に向ってゆるやかにふくらむ。噴気孔は1個で頭部正中線上にある。嘴はきわめて短く先がとがっており,下顎上顎より突出する。背鰭はない。尾柄部の上下面にキール (稜状の隆起) がある。胸鰭は小さく,幅が非常に狭い。上下顎骨にとがった細い円錐歯が左右 44~49対並ぶ。 1000頭をこえる大群をなすことがある。ハラジロカマイルカヒレナガゴンドウとの混群を形成することが多い。食性範囲が広く,スルメイカ類やさまざまな魚類を捕食するが,なかでもハダカイワシ類を好む。南半球の亜南極海域にのみ出現する。南限は南極収束線付近で,北限はペルー北部の南緯 12゜である。南半球の寒流が北へ向うために南アメリカ大陸西岸に沿ってその分布が著しく北側に拡大する。外洋域に生息するが,深海域が沿岸に接するところでは,海岸近くに出現することがある。

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