シールズフィールド(英語表記)Charles Sealsfield

改訂新版 世界大百科事典 「シールズフィールド」の意味・わかりやすい解説

シールズフィールド
Charles Sealsfield
生没年:1793-1864

オーストリア作家本名カール・ポストルKarl Postl。モラビア南部に生まれ,プラハのカトリック修道院に入るが1823年に脱走し,フリーメーソン組織の助けでアメリカ亡命,数年後に変名で再びヨーロッパに戻り,スイスに落ち着く。メッテルニヒの反動政治を批判しアメリカ民主主義をたたえる著作を英独両国語で書いたほか,《船室の書》(1841)等の小説で新世界の活気ある生活をみごとに描き出した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シールズフィールド」の意味・わかりやすい解説

シールズフィールド
しーるずふぃーるど
Charles Sealsfield
(1793―1864)

オーストリアの小説家。本名はカール・ポストルといい、モラビア地方(現チェコ)の農家に生まれる。早くから聖職者に定められた彼はプラハの修道院に入り書記まで務めたが、30歳のときアメリカへ逃亡し、ジャーナリスト文筆家として各地を旅行した。1832年以降はスイスに定住して、開拓期のアメリカ西部を舞台に、戦争や冒険の織り成す民衆のたくましい生活を写実的な筆致で描き出した小説を次々と発表した。もっとも成功を収めた作品は『船室の書』(1841)で全2巻からなり、その前半の「ジャシント草原」は卓越した自然描写によってとくに有名である。

[小菅善一]

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