ジャコビニスム

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ジャコビニスム
じゃこびにすむ
Jacobinisme

フランス革命を指導したジャコバン・クラブの政治的・社会的理念および運動。とりわけ、1792年以後ジャコバン・クラブの主導権を掌握したロベスピエール派の思想を、通常、ジャコビニスムとよぶ。またイギリス、ドイツ、東欧に伝播(でんぱ)した革命的民主主義運動、19世紀フランスでジャコビニスムの伝統を受け継ぐ政治運動をもジャコビニスムとよぶ。ジャコビニスムの特徴は、(1)小ブルジョア層の政治的・社会的理念の表明、(2)革命の危機を克服するための祖国愛の強調である。政治理念として民主制・中央集権制・非常手段の採用が主張され、社会理念として所有権の制限による「生存権」(ロベスピエール)の保障が強調された。その実現を通じて民衆(サン・キュロット)の祖国愛を喚起しようとした。ジャコビニスムと民衆との間には共通するところもあったが、多くの矛盾・対立も出現した。「自律的な小土地所有者・自由に労働し交換する独立した農民・手工業者の民主制」(G・ルフェーブル)を目ざすジャコビニスムは民衆の離反によって実現されなかったが、後代に巨大な政治的・思想的影響を与えた。[瓜生洋一]
『高橋幸八郎著『増補 市民革命の構造』(1967・御茶の水書房) ▽柴田三千雄著『バブーフの陰謀』(1968・岩波書店) ▽井上すゞ著『ジャコバン独裁の政治構造』(1972・御茶の水書房) ▽遅塚忠躬著『ロベスピエールとドリヴィエ』(1986・東京大学出版会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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