日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカイラブ計画」の意味・わかりやすい解説
スカイラブ計画
すかいらぶけいかく
Skylab Project
アメリカの有人宇宙実験室計画。月面着陸のアポロ計画に用いた推力約3400トンのサターンⅤ型ロケットの第3段目を改造して、重量約80トンの、宇宙飛行士3名が長期間にわたって居住可能な宇宙実験室スカイラブとしたもの。1973年5月14日ケネディ宇宙センターから打ち上げられ、軌道上を飛行しながら宇宙飛行士たちの医学・生理学的実験、太陽や地球などの科学的観測、無重量状態での冶金(やきん)などの工学的実験を行うことを目的とした。約10日遅れてコンラッド、カーウィン、ワイツの3宇宙飛行士がアポロ宇宙船(スカイラブ2号)を用いて打ち上げられ、スカイラブ1号とドッキングしてこれに乗り移り、28日間を実験室内で過ごして帰還した。同年7月28日打上げの第二次チーム(スカイラブ3号)は59日間、同年11月16日打上げの第三次チーム(スカイラブ4号)は84日間滞在して同種の実験を継続、これは当時の人間の宇宙滞在時間新記録であった。
スカイラブ計画はこの3回の実験で終了し、宇宙実験室はその後大気の抵抗を受けて高度が下がり、1979年7月12日大気圏に突入した。衛星の大部分は大気との摩擦によって燃え尽きたが、一部分はオーストラリア南西部に落下した。通常の人工衛星ではこのようなことはまれであるが、宇宙公害の一つとして当時論議の的となった。
[竹内端夫]
『リーランド・F・ベリュウ編、大林辰蔵・江尻全機訳著『宇宙の実験室』(1979・朝倉書店)』▽『高橋仙之助著『宇宙実験室スカイラブ』(1982・全国加除法令出版、全国出版発売)』