日本大百科全書(ニッポニカ) 「大林辰蔵」の意味・わかりやすい解説
大林辰蔵
おおばやしたつぞう
(1926―1992)
宇宙物理学者。和歌山県生まれ。1948年(昭和23)に東京大学理学部を卒業、郵政省電波研究所を経て、1961年(昭和36)に京都大学教授、1966年に東京大学教授になり、1981年に文部省宇宙科学研究所教授。太陽による地球大気への影響、地球の超高層大気のプラズマなどの研究で、太陽地球系物理学の発展に貢献した。また、理学と工学の連係を重視し、国産ロケットや人工衛星の開発に尽力した。宇宙空間における粒子流の実験装置を開発し、1983年スペースシャトルに搭載されたスペースラブ1号にその装置を乗せ、人工オーロラをつくる実験を行った。しかし、小さなねじがはずれ、電気回路に触れてショートを起こすというトラブルにより失敗した。1954年に電離層嵐の研究で地球電磁気・地球惑星圏学会の田中舘(たなかだて)賞、1977年に太陽地球系物理学の研究で東レ科学技術賞を受賞している。著書は『宇宙空間物理学』『ひらかれる宇宙の神秘』など多数。
[編集部 2023年4月20日]