スカラブレー(英語表記)Skara Brae

改訂新版 世界大百科事典 「スカラブレー」の意味・わかりやすい解説

スカラ・ブレー
Skara Brae

イギリス北端のオークニー諸島にある新石器時代の集落遺跡。1850年,嵐のために一部が露出,発見された。1927-30年に,V.G.チャイルドが指揮して,保存整備のための国営調査が実施された。検出された遺構は3時期にわたる。状況が最も明確なのは第3期で,7棟の住居とそれをつなぐ通路からなる。住居は1辺4~6.5mの隅丸方形,板石を積み粘土を塗って壁とし,屋根は鯨ひげをわたし,皮でおおったらしい。壁は厚く,隣接する住居の壁と一体となっており,通路上も板石を置いて屋根とする。屋根の上や周辺には貝殻や獣骨などを含んだごみを積み上げていたため,集落全体が丘状を呈していた。生活はおもに家畜飼育と漁労を中心とする。原始ヨーロッパ社会の成立基盤をオリエント文明の食料生産の波及に求めたチャイルドが,そのなかで成立した最北端の遺跡の一つとして重視したので有名である。また,ヨーロッパの集落遺跡のうち,保存状況が良好な点で屈指のものである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android