スキルスがん(読み)すきるすがん

  • scirrhous carcinoma

家庭医学館の解説

 進行胃がんは、X線検査や、内視鏡(ないしきょう)によって観察し組織を採取して生検(せいけん)を行なうことで、ほぼ診断できます。
 ところが、がんのなかには、まれに、スキルス胃がん(硬性(こうせい)がん)と呼ばれる、診断、治療のむずかしい悪性度の高いものがあります。
 ほとんどの胃がんは、胃の粘膜(ねんまく)に腫瘤(しゅりゅう)を形成して、胃壁の表面から盛り上がったり、くぼんだり、潰瘍かいよう)をつくったりしているのですが、スキルスがんは、腫瘤をつくらず、かたい線維組織をつくりながら、胃壁の中の粘膜下層や漿膜(しょうまく)下層にばらまかれるような形で広がっていきます。進行が速く、腹膜(ふくまく)への転移をおこしやすいがんで、比較的若年層にみられます。
 検査は、内視鏡よりも、表面からは見えない粘膜下まで観察できる超音波検査が有効です。

出典 小学館家庭医学館について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

腺(せん)がんの一種。硬がん、びまん性がんともよばれる。

 腫瘍(しゅよう)は、がん細胞の集団からなるがん胞巣(ほうそう)(実質)と、それを支える結合組織(間質)から構成される。スキルスがんは、がんの実質に対し、間質が著しく多く線維芽細胞が豊富なコラーゲンを産生しながら増生する。そのため、硬い病巣を形成するのが特徴である。がん細胞は間質のすきまに少数の集塊を形成したり、散在性に浸潤している。胃がん、乳がんのスキルスがんではこのような組織形態をとるものが多い。スキルス胃がんの場合、胃壁の肥厚・硬化を特徴とするが、がん胞巣が小さく、胃粘膜の表面にあまり現れず、胃壁の内部(粘膜下層や筋層、漿膜(しょうまく))をびまん浸潤性に増殖して、潰瘍(かいよう)も形成しない。そのため、病巣と周辺組織との境界が不明瞭(ふめいりょう)で、内視鏡検査で発見するのがむずかしいことがある。漿膜外に浸潤したり、腹膜播種(はしゅ)やリンパ節転移をきたす頻度が高いため、治癒切除が困難なことが多く、予後が悪い傾向にある。胃がんの肉眼型分類では、4型のびまん浸潤型に相当する。

[渡邊清高 2019年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

出し子

1 だし汁を取るための干した雑魚(ざこ)。煮干し。2 振り込め詐欺などの犯罪に利用された預金口座から現金を引き出す役をいう隠語。→掛け子 →受け子...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android