腹膜(読み)ふくまく(英語表記)peritoneum

  • 腹膜 peritoneum

翻訳|peritoneum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

腹腔の内面と,腹腔内に突出する内臓の表面をおおう漿膜で,壁側腹とこれが反転して内臓表面をおおう臓側腹膜に分れる。総面積は約 1.7m2で,ほぼ体表面積に等しい。腹膜の機能には吸収,ろ出ならびに癒着作用がある。吸収作用の能率はきわめて高く,12~30時間で体重と同量の液体を吸収する。正常状態では腹膜液はごく少量であるが,肝静脈系のうっ滞があると大量の腹水がたまり,炎症が加わると線維素を出し癒着を起して,炎症の拡大を防止する働きがある。

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百科事典マイペディアの解説

漿膜(しょうまく)の一種で,腹壁の内面と腹部内臓の表面をおおう薄膜。腹壁内面をおおう部は壁側腹膜(壁側葉),臓器をおおう部は臓側腹膜(臓側葉)と呼ばれ,両者は2枚の腹膜が背中あわせに合してできている二重葉である腸間膜でつながる。腹膜の間の間隙を腹膜腔といい,少量の無色透明な漿液が含まれるが,病的な場合には多量の浸出液がたまって腹水となる。
→関連項目人工透析腹膜炎腹膜透析

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世界大百科事典 第2版の解説

腹部の内臓の表面をつつみ,また腹壁の内面をおおっている漿膜をいい,ごく薄い上皮とその下に接着する結合組織の層とからできている。腹膜の全体がひとつづきになっていて,全体として一つの大きな腔所,すなわち腹(膜)腔をかこんでいる。この腔所は腹膜液という透明な液体が満たしており,この液の存在のため,また敷石状に並んでいる上皮細胞の表面がなめらかなために,腹部のいろいろな内臓は相互の間で,また腹壁に対しても少しの摩擦も起こすことなく動くことができる。

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大辞林 第三版の解説

腹腔および骨盤腔の内面と諸臓器の表面をおおう漿膜しようまく
「腹膜炎」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

腹腔(ふくくう)内の大部分の内臓の表面、および腹壁と骨盤壁の内面を覆っている薄い透明な漿膜(しょうまく)で、胸(きょう)膜(肋(ろく)膜)や漿膜性心膜と同じ起源である。内臓表面を覆うのが臓側(ぞうそく)腹膜、腹壁や骨盤壁を覆うのが壁側(へきそく)腹膜で、両者は連続して移行している。したがって、この両者によって、閉鎖した空隙(くうげき)ができることになる。これを腹膜腔という。腹膜腔には少量の漿液が存在し、臓器の摩擦を避けている。腹部臓器の炎症や内出血によって腹膜の炎症が生じると、腹膜腔に滲出(しんしゅつ)液(腹水(ふくすい))、血液、膿(のう)などが出現し、貯留することがある。
 腹膜は、顕微鏡的には単層扁平(へんぺい)な中皮(ちゅうひ)細胞と薄い線維性結合組織からできており、結合組織の中には大小の動・静脈、リンパ管、神経、脂肪組織などがみられる。腹膜が二重にあわさった部分を間膜といい、内臓に進入する血管、リンパ管、神経などはこの間膜の中を走る。代表的な間膜は腸間膜であり、これは空腸や回腸を腹腔後壁に固定するために発達した腹膜である。[嶋井和世・上見幸司]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 体腔の内面、または、腹腔内臓を取りまく漿膜。体腔内面を取りまく部分を体壁葉、内臓表面をおおう部分を内臓葉という。哺乳類では横隔膜によって胸膜と分離する。薄い丈夫な組織で、上皮組織とその下の結合組織からできている。〔医語類聚(1872)〕
※青鬼の褌を洗ふ女(1947)〈坂口安吾〉「幾度か水を飲ませたあげく腹膜を起させ殺してしまった」

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