ストロビラ(読み)すとろびら(英語表記)strobila

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストロビラ」の意味・わかりやすい解説

ストロビラ
すとろびら
strobila

腔腸(こうちょう)動物門鉢クラゲ綱の多くの種類の生活環中にみられる一時期のことをいい、横分体(よこぶんたい)ともいう。これらの種類では、卵は受精してプラヌラ幼生となり海中を遊泳するが、やがて底に着生して小形の鉢ポリプとなる。この鉢ポリプが発達すると、その細長い壺(つぼ)状の体にいくつかの横のくびれができ、ちょうど皿を重ねたような形に変わっていく。このような成長段階のものをストロビラとよんでいる。このストロビラの上端の皿状のものは、やがてエフィラとなって遊離していき、これが変態して小形のクラゲとなる。ストロビラは不透明な白色ないし淡紅色で、一般に高さ数ミリメートルのことが多いが、ときには1センチメートル以上に達することもある。

[山田真弓]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ストロビラ」の意味・わかりやすい解説

ストロビラ
strobila

刺胞動物門鉢虫綱に属するクラゲの一幼生期。皿を何枚も重ねたような形をしている。受精卵から浮遊幼生のプラヌラが生じ,次いでこれが海底におりてイソギンチャク様のポリプとなる。ポリプはさらにくびれができて皿を重ねたようなストロビラとなり,それぞれが遊離して花びらのようなエフィラとなり,変態後に成体となる。(→刺胞動物鉢虫類無脊椎動物

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世界大百科事典(旧版)内のストロビラの言及

【クラゲ(水母)】より

…受精卵からプラヌラ幼生になって着生し,触手を生じてポリプになって成長する。ポリプの体側に多くのくびれができ,皿を重ねたようなストロビラstrobilaになる。やがて触手が退化吸収されて成熟すると,ストロビラの先端からくびれごとに1枚ずつ離れ,エフィラ幼生ephyraになって水中に泳ぎ出す。…

【ジョウチュウ(条虫)】より

…したがって片節は,未熟片節,成熟片節,および子宮内に虫卵を有する受胎片節の3群に分けられる。頭節から末端までの全体をストロビラstrobila(片節連体)という。消化管がないので栄養は体表から吸収されるが,これはあたかもヒトの腸絨毛(じゆうもう)に類似した構造の角皮絨毛と呼ばれる微小な無数の突起を通して行われる。…

【体節】より

…ことに環形動物や節足動物ではそれが輪状の環をなしているので環節という。ところで体節をこのように〈同種の器官をそなえて前後の方向に反復する同じ構造の体の一部〉と定義すると,サナダムシやある種の腔腸動物の繁殖時におけるストロビラstrobila(横分体)もまた同型の多くの節からできている。しかしその節の起原はまったく違った性質のもので,いわば後者の分節は縦の方向に無性分殖をした虫体が,母体から離れないでいつまでも元の個体の一部分としてとどまり,その連絡位置で前のものは尾を,後のものは頭を失った姿と見ることができよう。…

※「ストロビラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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