改訂新版 世界大百科事典 「ストー夫人」の意味・わかりやすい解説
ストー夫人 (ストーふじん)
Harriet Beecher Stowe
生没年:1811-96
アメリカの作家。厳格なカルバン派の牧師ライマン・ビーチャーの次女としてコネティカット州に生まれる。1832年家族とともにオハイオ州シンシナティに移り,36年父が校長を務める神学校の教授カルビン・E.ストーと結婚。シンシナティはオハイオ川を隔てて南部の奴隷州と接し,その見聞を通じて奴隷制度への反感を強め,夫とともに逃亡奴隷の世話もした。50年メーン州に移った後《アンクル・トムの小屋》を書く。52年同書が単行本として出版されるや空前のベストセラーとなり,南北戦争誘発の原動力の一つになったとさえいわれる。同じく反奴隷小説《ドレッド》(1856)のほか,ニューイングランドのピューリタンを描いた《牧師の求婚》(1859),《オールドタウンの人びと》(1869)などは地方主義文学のはしりとして注目される。7人の子どもを育てるかたわら,小説,短編のほか児童物,家政学,随筆など著作多数がある。
執筆者:板橋 好枝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報