日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストー」の意味・わかりやすい解説
ストー(Randolph Stow)
すとー
Randolph Stow
(1935―2010)
オーストラリアの小説家、詩人。ウェスタン・オーストラリア州ジェラルトン生まれ。ウェスタン・オーストラリア大学卒業後、人類学に興味を寄せ、僻地(へきち)の宣教師やニューギニアの政府研究所助手を経て、イギリスのリーズ大学、母校、カナダやヨーロッパの大学講師を務めた。小説『幽霊の出る地』(1956)、『傍観者』(1957)、『島へ』(1958)、詩集『第一幕』(1957)を発表。1958、1959年の2回オーストラリア文芸協会賞、マイルズ・フランクリン賞(1958)など各文学賞を受賞、新世代の代表作家、詩人と目された。そののちも長編『海中の回転木馬』(1965)、『野生児ミッドナイト』(1967)、詩集『偽(にせ)の沈黙』(1969)、音楽劇『ドニソン嬢の気まぐれ』(1974)などがある。1979年発表の『ビジタンツ』は、パトリック・ホワイト文学賞を受賞した。象徴主義的手法も駆使し、この国の文学に新たな深みと活力を与えた。1987年には、ウェスタン・オーストラリア州で「ランドルフ・ストー小説と詩賞」が設立された。
[平松幹夫・古宇田敦子]
ストー(Harriet Elizabeth Beecher Stowe)
すとー
Harriet Elizabeth Beecher Stowe
(1811―1896)
アメリカの女流小説家。コネティカット州のカルビン主義(会衆派)の牧師の家庭に生まれる。キリスト教的人道主義の立場から『アンクル・トムの小屋』(1852)を書き、奴隷制反対の感情を全米的に盛り上げ、南北戦争の気運を促進した。多作家で、ニュー・イングランドの地方色豊かな小説が多く、『牧師の求婚』(1859)、『オールドタウンの人々』(1869)はその代表作。数回イギリスに旅行し、バイロン卿(きょう)の近親相姦(そうかん)を暴露、イギリス国民の不興を買ったこともある。
[関口 功]