スリップウェア
slipware
        
              
                        粘土と水を混ぜてクリーム状にしたスリップ(泥漿)で表面を装飾し焼成した陶器。広義には先史・古代以後,世界の各地で製作された彩文土器も含まれるが,一般には17~18世紀にイギリスの窯業地スタッフォードシャーの陶工トーマス・トフトやラルフ・トフトらがスリップで大きく人物や動物を描いた絵皿,もしくは器の表面全体に美しい網目や櫛目状の装飾を施した大皿やパイ皿をいう。これらはいずれも中世の伝統を受け継ぐ鉛釉の陶器で,比較的高温で焼成されている。装飾に用いるスリップはスリップ・トレーラーと呼ばれる筒の先に穴のあいた器に入れ,素地がなま乾きのときにスリップを搾り出しながら絵付けをする。櫛目がけや格子文のスリップ装飾は筒の先が3本から5本もあるトレーラーを使い均等に平行線や波状線をつける。
執筆者:前田 正明
 
    
        
    出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
	
    
  
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                    スリップウェア
slipware
        
              
                        装飾陶器の一種。化粧がけ陶器ともいう。陶器の素地に泥漿釉 (スリップ) をかけいろいろな装飾文様を施した陶器。その最古の作例は古くローマ時代にまでさかのぼるが,17世紀以来ドイツやイギリスにおいて盛んに作られた。また東欧や中央アジアの民芸陶器にも多い。
                                                          
     
    
        
    出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
	
    
  
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		世界大百科事典(旧版)内のスリップウェアの言及
    		
      【リーチ】より
        
          
      …ことに戦後しばしば彼は日本で個展を開き,また民芸運動を目ざす[柳宗悦]や浜田庄司らと伝統的な地方の窯場を旅している。彼の作品は李朝の陶器や日本の民芸陶器を原点として,これにイギリス中世のガレナ釉による水さしや18世紀の[スリップウェア]の素朴な伝統を蘇生させることによって,失われた焼物の美に新たな生命を吹き込んだ。彼は作陶のかたわら数多くの著作を残したが,なかでも彼の《A Potter’s Book(陶工の本)》(1940)は西洋の陶芸家の聖典として広く読まれている。…
      
     
         ※「スリップウェア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。 
        
    出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
	
    
  
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