ソキエタス(英語表記)societas

改訂新版 世界大百科事典 「ソキエタス」の意味・わかりやすい解説

ソキエタス
societas

共通の目的を達成するために,数人の当事者が相互給付を約することによって成立する契約にもとづいて形成されたローマ時代の組合。各当事者は資金物品,技術,権利,労働などを提供し,おのおのは他にとり決めがなければ利益損失も同様に分けあった。ローマ法の古典時代には組合はその目的に従って,全財産の組合,獲得財産の組合,特定の事業の組合,特定の物または行為の組合の4種類に分類された。前2世紀ころから大規模に行われたのが獲得財産を共通とすべきことを約する組合であった。ローマの拡大と経済の発展にともなって,数人の共同の財産で共同の事業を行うことが,徴税請負や軍需品製造業や運送業などのように大資本を必要とし個人ではなしえないような各種の事業について,しきりに見られるようになった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のソキエタスの言及

【修道会】より

…その場合,キリスト教の四大修道会則(レグラ=戒律)といわれる〈バシリウス会則〉〈ベネディクトゥス会則〉〈アウグスティヌス会則〉〈フランシスコ会則〉のいずれかに準拠するものを盛式誓願修道会(オルドordo),会憲のみによるものを単式誓願修道会(コングレガティオcongregatio),両者を併せてレリギオreligioという。またソキエタスsocietas,インスティトゥティオinstitutioの語が当てられることもある。 修道院は古くから存在したが,修道会ができたのは比較的遅い。…

【合資会社】より

… 合資会社は,匿名組合とともに,10世紀ごろ地中海沿岸の諸都市で海上企業について行われていた,資本家が企業者に商品,金銭,船舶等を委託し,企業者は海外に渡航して貿易を行い,その利益を分配することを内容とするコンメンダ契約から発生したものといわれている。その後,企業者も資本の一部を拠出するコレガンティアcollegantia(またはソキエタスsocietas)という形態が生じ,これが15世紀には,資本家が共同事業者として外部にあらわれる場合とそうでない場合に分化していった。前者が合資会社の起源となり,後者は匿名組合に発展していったのである。…

※「ソキエタス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android