ダイバーシティー方式(読み)だいばーしてぃーほうしき(英語表記)diversity reception

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ダイバーシティー方式
だいばーしてぃーほうしき
diversity reception

無線通信において、受信電力の時間的な変動すなわちフェージングによる信号品質の劣化が大きい場合、フェージング相関の小さな二つ以上の電波を受信し、その受信出力を信号処理することによって通信品質の劣化を軽減させる方法。電離層経由の伝搬路を利用する通信、または海上伝搬のマイクロ波通信などではフェージングを伴う。このフェージングは受信地点、周波数、偏波などが変わるとその相関が非常に小さくなる性質をもっている。ダイバーシティーはこの性質を利用したもので、二つ以上の受信アンテナをある程度離れた場所に設置するスペースダイバーシティー、同一の通信情報を周波数のわずかに異なる二つ以上の電波にのせて伝送する周波数ダイバーシティー、あるいは直交する2偏波の電波を利用する偏波ダイバーシティーなどがある。受信出力の取り出し方には受信機の復調出力を加え合わせ、一定レベル以上の信号強度を得る相加方式、受信機高周波増幅器または中間周波増幅器の出力の位相をほぼあわせたのち相加する位相合成方式、および大きいほうの出力を選択する切換え方式などがある。
 短波通信ではスペースダイバーシティーが主として使われていた。日本で最初のダイバーシティー方式は昭和の初めにサンフランシスコ―福岡(埼玉県)間の電信回線に導入された。
 地上中継用マイクロ波通信でも海面など電波を反射しやすいものが途中にある場合、一般にスペースダイバーシティーが使われる。
 新しい方式のダイバーシティーとしては、準ミリ波帯衛星通信でのサイトダイバーシティーが研究されている。これは準ミリ波帯電波の降雨による減衰の影響を軽減させるもので、ある程度以上離れた2地点では同時に強い雨の降る確率が小さいことを利用したものである。地球局を2局設け、降雨減衰の少ないほう、すなわち降雨の少ない側の局に適宜切り換えながら通信を行う。二つの地球局の間の距離は一般には20キロメートル程度でよいとされているが、日本の場合は台風の影響もあって、より大きな距離が必要となる。なお、このダイバーシティー方式は衛星放送の送信局にも利用されている。[横井 寛・遠藤静夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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