改訂新版 世界大百科事典 「ダルマティア」の意味・わかりやすい解説
ダルマティア
Dalmatia
ローマ帝国の属州の一つで,現在のほぼユーゴスラビアに当たるダルマタエ族の居住地域。後9年イリュリクムは二つの属州に分割され,アドリア海東岸地域一体が属州ダルマティアとして知られるようになった。サロナSalona(現,ソリンSolin)を中心とする沿岸都市には,イタリア,ギリシア,オリエントから多くの移民や商人が流入し,肥沃な地域に定住したので,港や道路網が整備された。内陸部においては農耕民が村落形態で居住したり,なかには遊牧生活を続ける部族もあったが,渓谷地域にはウィラをもった大所領農場経営も散見される。その後,この地方の出身者であるディオクレティアヌス帝によって二つの管区に分割された。
→ダルマツィア
執筆者:本村 凌二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報